作家個展レポート | うつわ散歩

岡さつき 唐津焼 秋のうつわ展~麗しき染付の世界~

January 31, 2020
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岡さつき 唐津焼 秋のうつわ展

~麗しき染付の世界~

まだ夏の暑さも残るなか、東京、二子玉川の玉川高島屋本館5階WAGOTOにて、唐津の女性作家として、いま大変注目されている岡さつきさんの個展が開かれました。

「秋のうつわ展」というテーマで、秋をイメージしたさつきさんのうつわがお披露目されました。

 

華やかで優雅なさつきさんの染付も、秋らしく、ぐっとシックでエレガントさがあふれていました。収穫の秋に、大自然の豊かな実りを盛り付けたくなります。

 


唐津の天平窯

岡さつきさんは、唐津の天平窯で作陶をしています。ゴッドハンドといわれる、天平窯の岡晋吾さんはさつきさんのご主人様です。染付や※白瓷(はくじ)の美しさで圧倒的な存在感がある岡晋吾さんと、ご夫妻で作陶に励まれています。東京でも天平窯はとても注目されていて、個展もたびたび開かれています。

唐津のうつわ、唐津焼は日本のやきものを代表する大変名高いうつわです。「一楽、二萩、三唐津」と言われるように、お茶の世界でとても高い評価を得ています。茶の湯を重んじた豊臣秀吉の桃山時代に栄えましたが(古唐津)、有田焼や伊万里焼といった磁器に圧倒され、一旦は衰退してしまいました。時代を経て昭和30年代に、中里無庵(人間国宝、12代中里太郎衛門)が当時の古唐津の技法を見事に復活させ、今に至ります。

岡晋吾さんやさつきさんのうつわに初めて出会ったとき、そのうつわの地の色に感銘を受けました。今まで見たことのない染付のうつわでした。真っ白な磁器とは違った、乳白色を帯びたほんのりベージュがかった白い色,その白瓷のうつわに魅了されました。

画像引用:岡晋吾氏(天平窯) instagram

※白瓷(はくじ)とは:白い磁器を白磁と呼ぶのが一般的ですが、白磁とは100%石でできたうつわのことを指します。一方、白瓷とは原料に石だけでなく少し土を混ぜたものを指します。真っ白が美しい白磁と比べて、少し乳白色がかった白の素地が特徴です。手にしたときにほんのり土の柔らかさや温かさが感じられます。天平窯の代表的なうつわです。

画像引用:岡さつき氏(天平窯)instagram

佐賀県唐津市に窯を構える天平窯は、JR筑肥線の唐津駅より4駅隣の浜崎駅から車で10分程度の山間にあり、のどかで豊かな自然に囲まれています。福岡市内の中心部からは地下鉄乗り入れで、唐津湾の美しい景色を眺めながら浜崎駅まで行くことが出来ます。

岡晋吾さんやさつきさんのうつわに描かれている染付や安南の紋様は、この日常の身近なところにある美しい自然のモチーフなのかもしれません。天平窯の美しい染付のうつわにひとたび出会うと、一気に染付の世界に引き込まれてしまいます。

画像引用:岡さつき氏(天平窯) instagram

【天平窯(てんぴょうがま)】
住所:〒849-5123 佐賀県唐津市浜玉町大字東山田1328-1
電話:0955-56-2061
定休日:第1日曜日、第2.3.4月曜日(お休みが変動する場合あり。あらかじめ要電話連絡)
HP:https://www.tenpyougama.com/
Faceboook:https://www.facebook.com/tenpyougama/
Instagram:https://www.instagram.com/tenpyougama/?hl=ja

さつきさんの麗しき染付・安南

さつきさんといえばひとつひとつ手で描かれた優雅な染付や※安南に心を奪われます。その緻密でありながら、軽やかで柔らかく華かなタッチの染付は、さつきさんの代表的な作品として大変人気があります。

なかでも紅の色と共に色彩豊かな安南は、さつきさんの手にかかると、日本の風土から生み出された日本人ならではのたおやかな印象のうつわになります。

※安南(あんなん)とは:ベトナム(安南)から伝わる焼き物の技法です。呉須(ごす)と呼ばれる青い顔料の絵付けが、灰分が多い溶けやすい釉薬を掛けることによって、にじんだ絵付けの線になり、ぼかした感じになるのが特徴です。

画像引用:岡さつき氏(天平窯)instagram

ご主人様の晋吾さんは、時に力強く格好よく、男らしさを感じる染付が魅力ですが、さつきさんの染付は、主婦として母としても、そのお役を果たしてこられたからこそあふれる出る女性の優しさが伝わってきます。

さつきさんにお話を伺うと「お料理に合ううつわを考えて作っています・・・」。そこには家庭の食卓という風景のぬくもりが浮かんでまいります。


秋のうつわ展よりうつわギャラリー

秋の個展に合わせて、秋らしさを表現されたさつきさんの個展の様子をご紹介します。

色鮮やかな染付や安南が人気のさつきさんのうつわですが、今回の個展でひときわ目についたのは、シンプルな単色の呉須の染付のうつわでした。とてもシックでエレガントで秋を感じる美しいうつわでした。

呉須の染付は本来青色ですが、さつきさんのうつわを代表する土と石を混ぜた素地(白瓷)に描くと、こんなにシックな黒に近い、深い青の色が生まれます。

高台にも染付が施されるのはさつきさんならではの芸の細かさです。

さつきさんのふんわり流れるような美しい染付に目が釘付けになります。

こちらも呉須の染付のプレート。輪花のフォルムにシックにエレガントに描かれています。秋の季節にとても似合ううつわですね。

呉須単色での染付ですが、薄く付いた部分が鉄に反応して赤茶色に。思いがけない偶然から生まれた炎や原料による自然の染付。

とても麗しいさつきさんの安南のうつわ。手に取ってみると、色彩の美しさや筆のタッチの滑らかさ、そして地の色の温かさや端正なフォルムに惚れ惚れします。

こちらはコバルトブルーの呉須を釉薬としてつくられた「瑠璃」。

瑠璃と染付のツートーンのうつわも華やかです。

新しい緑釉のシリーズもお披露目になりました。白瓷とはまた違った魅力がありますね。さつきさんの染付の美しさに惚れ惚れします。

緑釉の手の込んだ実に美しいポット。彫りと染付の両方が施されています。

少し前から作陶を開始されたのはオーブンウェアであるグラタン皿。オーブンでも使用可能な耐熱の陶土を開発され、グラタン皿が登場しました。

唐津焼のうつわでグラタンを・・・。とても贅沢で豊かな気持ちになりますね。

「アスパラとチーズをのせて焼いてみてくださいね」とさつきさんより・・・。

また、食卓のアイドル的な存在である、豆皿や箸置きも、小さなさつきさんのコスモス(宇宙)が広がっています。細部まで細やかな装飾が施されていてとても美しいです。


岡さつきさんの麗しき染付の世界をお届けしましたが、いかがでしたでしょうか。ひとつひとつ丁寧にろくろ成形されたうつわに、さらにこだわりの色や原料で一筆一筆美しく描かれた紋様は、まるで絵画のようです。

手に取っただけでその美しさに心を動かされます。お料理やお菓子などを盛り付けてテーブルに並べたら、いつものおうちごはんがいっぺんに、よそいきにおめかししたようになりますね。

テーブルやお料理を彩ってくれるさつきさんの染付や安南のうつわは、お気に入りのお洋服を着た時のように心が躍り、うつわスタイルが一段と素敵なものになります。

ファッションと同じように、うつわにもこだわってみたいときに、さつきさんのうつわがとても美しく優雅なスタイルを作ってくれること間違いなしです。

【玉川高島屋S・C】
住所:〒158-0094 東京都世田谷区玉川3-17-1
代表TEL:03-3709-2222
営業時間:10:00~20:00(百貨店)
定休日:1月1日(全館休館日)
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