【小石原焼・高取焼特集⑤「カネハ窯」】ゴールデンウィークに東峰村『民陶祭』で行きたい窯元7選、その⑤「カネハ窯」

小石原焼 カネハ窯

熊谷裕介 (くまがえゆうすけ)

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2017年、今年の小石原焼・高取焼の「春の民陶祭」は、GW(ゴールデンウィーク)の5月3日から5日まで東峰村で開かれます。約50軒の窯元が集まる中から、ぜひチェックしたい7軒の窯元をテーブライフがピックアップ。この記事では第5弾の「カネハ窯」をお送りします!

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農業とデザインをつきつめ、確かな技術で作り上げた「カネハ窯」のうつわ

道の駅でもらえる窯元マップの中でも、一番奥にあるのが「カネハ窯」。山間地の田圃を囲む曲がりくねった山添いの道を辿ると、突然山縁に煙突が現れます。そこに「熊谷製陶所」とあるのが「カネハ窯」です。

少し高台にあるギャラリーショップのテラスからは、小石原の田園風景が一望にできます。カネハ窯はこの田んぼでお米を作りながら作陶を行う、「半農半陶」の窯元なのです。

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つい半農半陶と聞くと泥臭い感じを受けますが、熊谷裕介さんはイタリアを拠点に活躍した空間デザイナーや大学教授とのプロジェクトで、デザインの本質や小石原焼のアイデンティティについて、若い頃にとことんつきつめた経験の持ち主です。

その知見が確かな手技と結びついたのが、カネハ窯のうつわになっています。

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目指しているのは、流行に流されない本質的な美しさ。それを「カネハ窯」の特徴、農業=米作りとのかかわりの中で表現しています。

その一端が最近立ち上げたR&Cというシリーズ。これはお米、ご飯粒を味わってもらうために作った、ごはん茶碗のブランドです。

灰釉はギャラリーや自宅の薪ストーブからでた灰を使い、鉄釉は創業以来から用いられた窯元の個性。それらを小石原焼の技法を駆使して、ごはん茶碗として極められたデザインに落とし込んでいます。

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陶器は遺跡から発掘されるように、時代を超えて長持ちする道具。だからこそ、本質的なデザインや、和食器の美しい形を大切にしたいと考えます。

知らなかった! 和食器と洋食器の本当の違い

ー和食器の形ってどういう特徴があるんですか?

和食器は「手に持って使ううつわ」で洋食器は「置いたままで使ううつわ」とよく言いますが、それはどういうことでしょう?

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持ちやすくするには、うつわの下にすっと指が入らなければいけません。ですから平皿といっても和食器は必ず湾曲していますし、高台(こうだい:うつわの下にある低い足の部分)は中心の近くにあります。いっぽう洋食器ではナイフフォークで食べ物を切るので、端っこにぎゅっと力をかけても器が安定するように、リムの下あたりのかなり外側に高台があります 。形も湾曲はしないで、洋食器ではリムの近くまでたいらです。

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こうした豊富な知見と確かなロクロの技術が、「カネハ窯」の綺麗なフォルムのうつわを生み出しています。

手にとって感じたい、確かな技術が生み出したうつわ達

前出のプロジェクト時代に生み出した、大きな四つ葉のクローバーのようなお皿は、ロクロで4枚のお皿を作ってからヘリを切って合わせる。正確に同じ皿を挽くことができないと、切り口はちゃんと合いません。

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裕介さんは驚いたことに、洋皿を作るときに高台も一緒に粘土から引き出します。普通は「ベタ皿」といって裏がたいらのものを作り、そのままか高台を付けたり、削りだしたりします。ロクロで挽いた部分は土が締まって強くなり、薄く作れるので軽くなります。そして、工程が一度ですむので早くたくさん作れます。小石原焼は型を使わない手作りでも、量を作れるように技術を磨いてきたといいますが、この裕介さんの技術には驚いてしまいました。

カネハ窯ではR&C(Rice&Ceramic)のブランドで、ごはん茶碗やドンブリと共にこの窯元が栽培したお米も販売しています。

お米を美味しくする寒暖差の大きい気候と、上流に民家のない綺麗な山水で育った「夢つくし」。もちもち感のある、福岡県ブランドのお米です。5キロ2,430円、10キロ4,860円。

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ごはんを食べるときに背筋が伸びて美味しく食べられるよう、すっとお茶碗が手に取れる高めの高台になったR&Cのうつわで食べてみたいですね。

お米は店頭限定でお試し3合300円もありますので、民陶祭のときは忘れずゲットしたいですね!

 

 窯元名 カネハ窯
 窯主 熊谷 泰生・裕介
 住所 福岡県朝倉郡東峰村大字小石原113
 電話番号 0946-74-2203
 営業時間 9:00~17:00
 定休日 年中無休
 駐車場 有り
 ホームページ http://www.koishiwara.com/
 フェイスブック https://ja-jp.facebook.com/kanehagama/

○熊谷祐介陶歴

昭和47年 カネハ窯三代目として誕生
平成8年 九州産業大学芸術学部デザイン学科卒業
カネハ窯で作陶を始める
平成16年 第21回小石原焼伝統的工芸展 福岡県知事賞受賞
平成18年 第30回福岡県伝統的工芸品展 福岡県知事賞受賞
平成21年 第33回福岡県伝統的工芸品展 商工連合会会長賞受賞
平成25年 福岡県より 激励賞 受賞

○「カネハ窯」のうつわが買えるお店

東峰ムラガールズ アンテナショップ『With+(ウイズプラス)』

福岡市中央区鳥飼3丁目7番21号
Tel: 092-741-5148
Fax: 092-720-9618
Open 10:00〜17:00
定休日 水・日
URL: https://withplus.jimdo.com/

○ギャラリー・ショップ(直営店)

取材の日は三月上旬、予想外の大雪。本来なら、ここから田園風景が見渡せます。

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入り口には「ご自由にお入りください」の看板が。

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ギャラリーショップは山盛りの作品。左手にさっきの、田園を眺めながら休めるカウンターと、外にテラスがあります。

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現代的なテイストはもちろん、伝統の柄もしっかりそろいます。平皿、プレートともに柄とサイズが豊富です。

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取手のないカップ&ソーサーが面白いですね。フタ付きのもあります。飲み物だけでなく、小鉢やデザートにも使えそう。

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鉄釉や掛け合わせもおしゃれです。写真以外の形もいろいろあります。

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伝統の柄も種類が多く、他と合わせやすいのも魅力的です。

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窯元推しの、御飯茶碗とドンブリたち。R&Cブランドのうつわです。

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小物もいろいろあって、楽しいですね。

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他の窯元からは少し離れていますが、グーグルマップでナビすればちゃんと連れて行ってくれます。
小石原焼は、ここで採れる陶土と化粧土、地元の藁と木の灰で焼かれている地域に根付いた文化。それが実感できる、田園の窯元にぜひ足を伸ばしてくださいね。

(取材・撮影テーブルライフ編集部)