京焼・清水焼の歴史と魅力
京焼・清水焼(きょうやき・きよみずやき)は京都で焼かれる陶磁器の総称です。
京焼・清水焼は有田焼、備前焼など、他の産地のように様式・技法に特徴があるわけではなく、焼き締めの陶器から色鮮やかな磁器まで、多様な技法で様々な種類の焼き物が焼かれ、その歴史は陶工達の個性に支えられています。
京焼・清水焼の歴史は平安時代までさかのぼります。全国の交通網が整い始め、各地から大量の陶器が調達できるようになり、さらに中国からの陶磁器の輸入も始まり、京都は国内外の焼き物が流入する巨大な市場と成長しますが、一方で、京都での本格的な焼き物の生産は行われていませんでした。
安土・桃山時代に移ると茶道が流行し、粟田口焼、楽焼や押小路焼など多くの窯で茶碗や茶入れなどのやきものが作られました。これが現在の「京焼」の始まりとされています。
そして江戸時代に野々村仁清(ののむらにんせい)や尾形乾山(おがたけんざん)、奥田頴川(おくだえいせん)、青木木米(あおきもくべい)といった名工が現れ、京焼の地位を確立しました。その後、京焼の陶工たちは中国・四国・北陸など地方の窯に招かれ指導にあたり、日本の焼き物技術の発展に大きく影響を与えることとなります。
現在五条坂・泉涌寺・蛇ヶ谷・山科の清水団地・宇治市の炭山などの、かつて清水寺に向かう清水坂界隈の窯元で焼かれていた焼き物を指す「清水焼」と呼ばれていた地域に窯元が集まっていることが、「京焼・清水焼」と称されることとなった所以です。
近年、国内のみならず海外からも観光地として人気の高い京都で、「京焼・清水焼」の陶工たちは伝統を守りながら作り手の個性という色を加え、日本を代表する伝統工芸品の美しさを発信し続けています。
(タイトル写真:尾形乾山「色絵春草図角皿」 出典:http://izucul.cocolog-nifty.com/balance/2015/01/post-7e39.html)
京焼・清水焼の注目若手作家 5選
平安楽堂 松岡賢治
青磁釉、緑、コバルトブルーの3色を用いたシリーズで、北欧デザインを意識した食器を制作。家業として伝統的な清水焼を学びながら、オリジナルもリリースしています。土ものは線彫り、しのぎをして白マットの落ち着いた色調、黄色の釉薬を引き立たせるような装飾をしています。
写真出典:http://webshop.cosoado.net/?pid=99050799
米澤工房 米澤猛
京都西陣に工房をかまえ、モノトーンの作品を中心に発表。松竹梅など京都的な絵柄を、現代的に表現して、新しい京都の焼きものを作り出しています。機織りの音が聞こえる町家でギャラリーを構え、陶芸体験も受け付けているので、ぜひ覗いてみたいですね。
写真出典・ホームページ:http://www.y-kobo.net/
守崎正洋
高級品に多い、天目や辰砂・青瓷など中国系釉薬で、日常使いのうつわを作成しています。オリジナルの色合いを作り出すことに力を入れており、独特の「油滴天目」や「流天目」の美しさにはうっとりしてしまいます。
写真出典:http://item.rakuten.co.jp/kyoutodentousangyou/0188-yutekitenmoku/
小坂大毅
若手ながら、骨董のような手の込んだ染付が印象的な作家です。2013年に京北に窯を築いて、李朝朝鮮や中国の古陶磁を研究し、作品に生かしてきました。最近は色絵も手がけており、その出来ばえにも注目です。
写真出典・ホームページ:http://kosaka-daiki.jimdo.com/
加藤美樹
釉薬や粘土を溶いたものをつかって、スポイトで模様を描く「いっちん」という技法で、可憐な作品を送り出しています。模様が分かりやすいよう、灰釉の作品の写真を掲載しましたが、白磁もステキですよ。
写真出典:http://sophora8.jugem.jp/?eid=197
〇日本の伝統文化の中心地とあって、まだまだ注目の若手作家さんはまだまだいます。今後も、コラムでご紹介しますので、お楽しみにしてくださいね。