うつわ記事
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【九谷焼窯元特集1】錦山窯 吉田幸央(よしたゆきお)さん・吉田るみこさん

January 07, 2018

九谷焼 錦山窯(きんざんがま)
吉田幸央(よしたゆきお)さん・吉田るみこさん

日本を代表する色絵陶磁器の1つ、九谷焼。今特に注目の窯元・錦山窯さんを取材して参りました。

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小松空港から車で10分ほどの場所にある錦山窯は1906年(明治39年)創業の上絵付専業の窯元さんです。

吉田幸央さんは4代目。3代目である父・美統(みのり)さんは、2001年に釉裏金彩技法により国指定重要無形文化財保持者(人間国宝)の認定を受けています。

幸央さんは金沢美術工芸大を卒業後、九谷焼技術研修所の1期生として入所し、そこで奥様のるみこさんと出会ったそうです。

るみこさんも現在、錦山窯にて作陶を行い作家活動をされています。

自家生産の金粉&金彩技法

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九谷焼は金襴手(きんらんで)という金彩を焼き付ける装飾技法が主流です。幸央さんも「金彩の技法」を得意としており、色を重ねてテクスチュアーをつけて風合いを持たせ、一つ一つ筆で模様を丁寧に描いています。

錦山窯は九谷では珍しく、金粉を昔から自社で作っている工房です。金箔を細かくすりつぶして金粉にする「金消し」と呼ばれる作業をすることで、市販の金泥絵の具よりも細かく発色がよいものができるため、その知識を生かし数々の素晴らしい作品を生み出しています。

こちらは薄くのばした金箔をカットしているところ。カットするのに使用しているのは何と手術用のハサミ。ミリ単位の薄さである金箔も綺麗に切れるそうです。

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「技法」と「心意気」

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伝えたいのは「技法」と「心意気」。そして何よりも器を楽しんでもらえることが一番、と幸央さん。

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まるで水彩画のような幸央さんの作品。色を混ぜるのではなく重ねることにより、このような独特な色合いが生まれるそうです。

そしてもっと色の表情を豊かにするためにたどり着いたのが、撥水剤を素地作りの段階で使うこと。その上に金彩を重ねることで、九谷焼の伝統を崩さずも新しい作風を作り出しています。

優しく淡い色合いの緑や青、ピンクに金箔を合わせることによってより華やかに優美な印象を与えますね。


(工房2階のギャラリーには美統さん、幸央さん、るみ子さん、それぞれの作品がたくさん展示されていました。)


人間国宝である美統さんの作品。


職人でありながら社長、そして九谷焼の魅力を世界に伝える

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2007年に錦山窯4代目となるも、経営的なことが苦手で最初家業を継ぐことに抵抗があったという幸央さん。今後は販売流通の仕組みを変えていきながら、自分たちの作品を上手に見せること、そしてその良さや魅力を国内外もっと多くの方に作品の魅力を伝えていきたいともおっしゃっていました。

そして錦山窯の作品の特徴である「金彩」という伝統に敬意を払いつつ、テクスチャーをつけたり、色の濃淡を用いることで今の時代に合わせた作品作りを行いつつも、人間国宝であるお父様が今行っている釉裏金彩を変化をつけながら次世代に伝えながら、将来的にはもっと色々な技術を習得して錦山窯ブランドを確立していきたいと今後のモノづくりに対する意気込みを語って下さいました。


OFFの日は・・・

作品作りの参考に美術館巡りやファッションショップに足を運んでいるそうです。女性ものの洋服を見るのも好きで、「フリルやレース使いの、純粋に綺麗なものに惹かれます」とキッパリ。ユニセックスな視点で素材や縫製チェックをすることで作品作りにも生かされているようです。

さらにあまり多くの情報を入れたくないので地上波TVは敢えて見ないようにしているとのこと。その代わりオーディオブックを使いながら仕事に取り組んでいらっしゃるそうで、常に作品のことを考えていらっしゃる幸央さんならではですね。

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今後の活動

今月18日~23日にパリで開かれるMaison & Objet (メゾン・エ・オブジェ)への出展が決まっており、九谷焼、そして錦山窯の作品を世界に向けて発信すべく、新たな作品作りに益々熱が入っているそうです。

おっとりとした口調の中にも強い信念を持っていらっしゃる幸央さん(時にはジョークを飛ばすなどお茶目な一面も・・・)、そしてお隣で常に笑顔で明るく対応して下さった奥様のるみ子さん、今後のお2人の活動に大注目です!

錦山窯 
〒923-0031 石川県小松市高堂町トー18 
tel: 0761-22-5080 
fax: 0761-24-2120 
営業時間:9時ー17時(土日祝日休み)

錦山窯の作品は九谷焼彩匠会でご購入できます。

また「通販で買えるオススメ九谷焼(くたにやき)10選」でもご紹介していますのでぜひご覧ください。

〇吉田幸央 略歴

1960 石川県小松市生まれ
1982 金沢見術工芸大学工芸科卒業後、
石川県立九谷焼技術研修所入学
1985 朝日陶芸展奨励賞
1986 石川県立九谷焼技術研修所卒業
1988 錦山窯に入る
1992 伝統九谷焼工芸展大賞受賞
2007 錦山窯四代となる
2009 伝統九谷焼工芸展大賞受賞
2010 日本伝統工芸展高松宮記念賞受賞

日本工芸会正会員、日本陶芸美術協会常任幹事、石川県九谷焼技術保存会会員、金沢美術工芸大学非常勤講師

〇吉田るみこ 略歴

1962 石川県生まれ
1985 金沢大学卒業後、石川県立九谷焼技術研修所入学
1987 石川県立九谷焼技術研修所 卒業
錦山窯で作陶を開始
1999 朝日現代クラフト展(優秀賞)

[取材・編集 テーブルライフ編集部]