【フラッグス・窯元潜入レポ】有田焼・文翔窯 森田文一郎さんインタビュー

【フラッグス・窯元潜入レポ】有田焼・文翔窯 森田文一郎さんインタビュー

有田焼創業400年事業がきっかけで集まった7人の窯元当主たち「フラッグス」。テーブルライフが独占インタビューさせていただいた個々の窯元や作品についてもっと詳しくご紹介していきます!

【関連記事】

  1. 【特集・フラッグス】有田で伝統とモダンを追求し続ける窯元集団!その1
  2. その1 貝山製陶所 藤本和孝さんインタビュー
  3. その2 皓洋窯 前田洋介さんインタビュー
  4. その3 親和伯父山 岩永真祐さんインタビュー
  5. その4 文翔窯 森田文一郎さんインタビュー
  6. その5 陶悦窯 今村堅一さんインタビュー
  7. その6 副千製陶所 副島謙一さんインタビュー
  8. その7 福珠窯 福田雄介さんインタビュー



今回はワイルドな髭がとてもお似合いの文翔窯・森田文一郎さんをご紹介。フラッグスで唯一食器以外の作品を出品されている森田さん。活動を通じて作品を作られた経緯やそこに込められた思いを伺いました!

有限会社 文翔窯

〒844-0021 
佐賀県西松浦郡有田町戸杓丙147-36
TEL/FAX:0955-43-2392

HP:http://www.aritanet.ne.jp/bunsyoh/
Facebook:https://www.facebook.com/aritabunbun/?fref=ts

早速工房へ!

有田駅から徒歩で約10分ほど。大通りから少し外れた静かな場所に工房はあります。

小さな看板の横には陶器のハトがお出迎え。

工房には小さな作品がたくさん!

よく見ると、器以外のものが圧倒的に多いんです。

実は文翔窯さんは食器以外の焼物を作るパイオニア的存在。プラスチックで作られているボールペンなどの文房具からコンセントカバーなどインテリア製品まで有田焼で作っている窯元です。

-有田焼といえば食器が多い中、それ以外のものを作られているのは珍しいですね。

元々伯父の窯元で働いていた父が独立・開業しました。その時に何か太刀打ちできるもの、特徴あるものを、ということで敢えて食器以外のものを作ろうと思ったと聞いています。そういったものを作り続けて27年あまり経ちます。



珍しい有田焼の文房具

フラッグスの活動で文翔堂さんが出品されているのはこちらのボールペン。有田焼創業400年事業をきっかけに作ったものです。

-今回の活動でボールペンにしたのは何か理由がありますか?

もともとはスイッチプレートやコンセントプレートをメインに作ってきましたが、有田では食器や美術品だけでなく、こういった珍しいものも作っているのだと色々な方に知っていただきたいという思いもあって今回ボールペンを出品しました。

全て手彫りの格子柄模様

-こちらのボールペンの特徴を教えてください。

一番の特徴と言えば、替え芯入れ替えることを踏まえて芯に合わせて長さや大きさを緻密に調整したことです。焼き物は焼き加減で微妙にサイズが変わってしまうこともあり、ここまでの緻密さはなかなかないと自負しています。だからそれだけ価値のあるものとなっています。

またこちらのペンはキャップ式なのでインクは普通に替えられる上、インクは市販のもので交換可能となっているのも大きな特徴ですね。あと、ペンを置いたときにわざと斜めになるように設計しました。

ペンの色は白・黒・青磁の3色で黒はマット感のある渋くてシックなデザインです。ちなみに女性受けするのは青磁なんですよ。


-格子柄にした理由は何ですか?またこだわりや苦労した点はありますか?

今こういうのを作るのは機械が当たり前ですよね。それだと温かみに欠けるので、敢えて手作りでやってみたかったんです。原型は全て手彫りで、20パターン作りました。

また陶器なので焼成するとどうしても微妙にサイズが変わってしまいます。市販されている高級ボールペンの直径をネットで調べたり、実際に売り場まで足を運んで手にとって見てみたりと色々リサーチしました。

中のリフィルの芯の長さは決まっているので、そのバランスに合わせたサイズ感や焼きあがりを想定しながら太さや長さを微調整しつつ、最終的に今の大きさになりました。ちなみにペン1本を手彫りするのに夜なべしながら1週間かかりました(笑)



手に馴染む陶器のペン

そして早速こちらの白いボールペンを編集部員が握ってみました。


陶器のボールペン=重くて書きづらいという先入観の元、いざペンを握ってみると・・・

ビックリするぐらいシックリするではありませんか!?

そして実際に書いてみると適度な重さがこれまたいい感じで手に馴染んで書きやすい!!!

握りやすさや重心を置く位置も緻密に計算されて作られているからこそのボールペンです。

ちなみに携帯用、キャップ式も作られています。(こちらはさらに手にシックリ馴染んでいてビックリ!)

こちらデスクペンを作った際、やはり携帯用も・・・ということで残念ながら販売はしていないそうですが、今後販売する方向で只今検討中だそうです。

若い人にもっと使ってほしい・・・

-どういう方に使って欲しいですか?

基本老若男女問わずですが、若い方々にたくさん使ってほしいですね。また器に興味ない人でもこれを見て焼き物に興味を持ってくれる一つにきっかけになってくれるといいな、とも思っています。

-今後ボールペンの他に作っていきたいものは何かありますか?

ペーパーナイフですね。実際うちの商品はほぼ全てが贈答用として買われる人が多いので自分用に買う人はほとんどいないんですよ(笑)でも以前有田陶器市で20代の方が自分用にとペーパーナイフを購入して下さったこともあったので、こちらはもっと作ってみたいですね。

またボールペン以外のアイテムは古典柄が多いので、伝統を残しつつもデザインを少しずつ変えていきたいとも思っています。有田焼の知名度に頼るだけでなく、自社のオリジナリティーと自分らしさを活かしつつ、長く愛し使ってもらえるようなものを模索しながらモノづくりを続けていきたいです。

何とゴルフパターまでありました!

-OFFの日の過ごし方を教えてください

海釣りが好きでよく行っています。あとはお酒ですね。最近のマイブームは日本酒で、飲んでいるひとときがとても楽しいです。

~工房の様子~
作品自体が小さいものが多いため工房もすごくこじんまりとしています。

大人1人入れるぐらいのとても小さな窯です。

どことなく大人気お笑い芸人Mちゃん似の森田さん。時々ユーモアを交えながらのインタービューは終始和やかな雰囲気でした。そして最後に「焼き物文房具の老舗であり続けるために頑張りたい」とおっしゃられた時は作品作りに対する強い意気込みを感じました。

文翔窯・についてはこちらをご覧下さい。
Facebook: https://www.facebook.com/aritabunbun/

テーブルライフではこの先もフラッグスの動向に注目していきます!



【関連記事】

  1. 【特集・フラッグス】有田で伝統とモダンを追求し続ける窯元集団!その1
  2. その1 貝山製陶所 藤本和孝さんインタビュー
  3. その2 皓洋窯 前田洋介さんインタビュー
  4. その3 親和伯父山 岩永真祐さんインタビュー
  5. その4 文翔窯 森田文一郎さんインタビュー
  6. その5 陶悦窯 今村堅一さんインタビュー
  7. その6 副千製陶所 副島謙一さんインタビュー
  8. その7 福珠窯 福田雄介さんインタビュー

[2018年7月25日現在 取材・編集テーブルライフ編集部]