[韓国食器] 陶磁器のルーツと韓国食器の使い方・マナー
人気急上昇中の「韓国食器」。韓国食器の基礎知識として、韓国における陶磁器のルーツと、韓国食器の使い方についてまとめました。
目次 ■韓国の陶磁器の歴史 ■韓国食器の使い方・マナー
■韓国の陶磁器の歴史
韓国の陶磁器といえば『青磁器』。それらを巡る歴史を簡単に紐解いて見ました。
百済/新羅(7−9世紀)
土器時代を経て、7世紀の百済では緑柚を施した陶器を焼成。日本は飛鳥時代と奈良時代の頃です。
9世紀の新羅時代に、中国が起源の『青磁器』が朝鮮に伝来しました。(その頃日本は平安時代)
高麗(918ー1392年)
高麗時代には、『翡色(ピセク)』と呼ばれ、高貴な人々に大変愛されました。
その美しさは青磁を生んだ地、中国の人々をも驚かせるほどでした。
精巧で魅力的な造形といかにも貴族好みの薄く軽やかさ。
写真出典:東京国立博物館http://www.tnm.jp/modules/rblog/index.php/1/2014/10/31/陶磁名品韓国編/
10世紀ー12世紀は貴族文化が開花し、美しい象嵌が中心の『高麗 青磁』が人気となります。
『青磁象嵌牡丹文枕黄海北道開城付近出土 高麗時代・13世紀韓国国立中央博物館蔵』写真出典:東京国立博物館http://www.tnm.jp/modules/rblog/index.php/1/2014/10/31/陶磁名品韓国編/
すかし彫の装飾や、銅を含んだ顔料を使うことによって上品な紅色の発色の『辰砂』という技法や、青磁鉄絵も人気を博しました。
貴族の食器、装飾品、祭事の器には『翡色』が使われ、権力の象徴でもありました。
その後の社会情勢の変化(13世紀のモンゴルからの侵入)に伴い、扶安(プアン)や康津(カンジン)で盛んであった青磁窯は廃れ、その姿を消しました。
李氏朝鮮時代(1392−1910年)
1392年、『李氏朝鮮』により高麗は滅ぼされます。
陶磁器の文化は、青磁に代わり、
- 『粉青沙器』<灰色の胎土の上に白土を用いてさまざまな技法で装飾をほどこした陶器の総称>
- 『印花』<象嵌や菊花文のスタンプを一面に押し、そこに白土を埋めた技法>
- 『刷毛目』<刷毛を用いて白土を塗った塗跡がそのまま装飾になる技法>
- 『彫三島』<うつわ表の前面に塗られた白土を削り取って模様をあらわす掻き落としの技法>
などが広く生み出されました。
15−16世紀には『鉄絵』が盛んになり、16世紀後半には、ほとんどの窯が白磁窯に転向し、青磁に代わって白磁=『李朝白磁』が主流と変貌します。
またその頃、国として、15世紀には、新体制である朝鮮王朝により建て直しが図られ、陶磁生産に復活の兆しが見え始めます。
朝鮮王朝は朱子学(儒教)を国家の統治理念に定め、白磁を国王専用の器としました。荒廃した窯業体制を整えるため、京畿道広州(キョンギド・クァンジュ)に官窯を設置。さらに各官庁が管理する窯が地方に増え、朝鮮の窯業は新たなスタートを切ったのです。
朝鮮時代の特徴として、17世紀頃、突如として何の装飾もない豊満な造形の白磁壺が登場します。「満月壺」と称されるそれらは、朝鮮末期まで塩辛などを作る際に使用された実用品でしたが、穏やかで静かなその造形は朝鮮白磁の白眉といえます。
十九世紀に官窯(国の運営する窯)が廃止され、韓国の陶磁器はまたもやストップすることになりました。官窯の廃止後、地元のもともとある庶民向けの窯がポツンポツンと存続し、そこへ利休好みからの流れをくむ、河井寛次郎や、濱田庄司が素晴らしいと、買い求めに来たというエピソードがあります。
さぁ、そんな韓国の『現代の食器事情』は、どうでしょうか。
王朝や貴族の陶磁器とは別に、市民から愛用されているのは、ステンレスの食器とカトラリー、そして、この頃は、韓流ドラマで使用されている陶磁器です。
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(参考資料) 2014年10月31日 東京国立博物館「研究員のイチオシ作品! ~東アジアの華 陶磁名品展・韓国編~」 http://www.tnm.jp/modules/rblog/index.php/1/2014/10/31/陶磁名品韓国編/ 2010年2月19日東洋経済日報「<韓国文化>王族専用だった白磁の器」 http://www.toyo-keizai.co.jp/news/culture/2010/post_3821.php
韓国食器の使い方と食事のマナー
そんな韓国の食器は種類が独特で使い方が気になりますよね。韓国食器の使い方とマナーについて気をつけるポイントをご紹介します!
1.スプーンは左で、箸は右
韓国では、必ずスプーンと箸がセット。一人用の丸いお膳の場合、お膳の右手前にスプーン、その奥に箸となり横置きになります。数名で食卓を囲むときは、縦置きになり、スプーンが左で箸が右です。また、スプーンやお箸は食器の上には置かないルールもあります。
2.温かい料理や好きなものは右側に
汁物やチムなどの温かい蒸し物、メイン料理、良く食べるおかずは右側に置きます。温かいものはなるべく冷まさないようにスプーンや箸に近い場所になります。
3.器は持たない
器を持って、食事をするのは失礼にあたります。ここは西洋フレンチと同じですね。スプーンと箸の使い分けが明確なのは、器を持ち上げずに食事するという基本ルールがあるからです。
4.座るときは、あぐらか立て膝
テーブルではない場合に日本でいうお座敷のような場所では、座り方は男性があぐら、女性は立て膝で正式な座り方になります。女性が立て膝なのは、韓服がきれいに見えるのと、さっと立ち上がりやすいからです。
5.年長者から食べ始める
年上を敬う気持ちの強い韓国では、年長者が箸を持って食事を始めてから、他の人も食べ始めます。また、年下のものから食事を終わらせてはいけません。
6.直箸が基本
韓国では個食を好まず、大勢で食事することを好みます。こちらは逆に西洋ではあまりない風習ですね。一つの料理を共有するときは、直箸が基本。
日本のように、逆さ箸にしたり、取り箸も使ったりはしません。
7.お酒をつぐときは左手を右腕に添える
お酒の席では、まず年長者の方にお酒を注ぎましょう。お酒を右手に持ったら、左手を右腕に添えるのがマナーです。これは握手にもよく見られますね。
8.お酒を飲むときは横を向く
年長者とお酒の席をともにする場合、正面を向いて飲むのは失礼にあたります。必ず顔を横に向けて、口元を左手で隠しながら飲むのがマナーです。
9.注ぎ足すのは飲み干してから
日本の場合、グラスのお酒がなくならないようにと、途中で注ぎ足すのがマナーですが、韓国では完全に飲み干した後にお注ぎするのが基本です。
色々違いがあって面白いですね。
10.韓国の食器の楽しみ方
韓国の宮廷料理はお膳(テーブル)の脚が折れるほどの種類と言われています。
韓国料理は品数が多いので、小さな器をテーブルにたくさん揃えることで目にも楽しく。
いかがでしょうか?
歴史とマナーをじっくり学んで、ヘルシーで美味しい韓国料理と、食器を楽しんでみてくださいね。
[取材・編集 テーブルライフ編集部]