【フラッグス・窯元潜入レポ】副千製陶所 副島謙一さんインタビュー
伝統とモダンを追求し続ける有田焼窯元集団の「フラッグス」。こちらの特集記事で結成秘話から今後の活動についてレポートさせて頂きましたが、今回は副千製陶所(そえせんせいとうしょ)副島謙一さんにフラッグスの活動と作品の誕生秘話について、詳しくお話を聞いて参りました!
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副千製陶所・副島さんのインタビューは実は今回が2度目。「肥前吉田焼特集」で取り上げさせていただいたときの話はこちらです。
【肥前吉田焼特集1】副千製陶所・副島 謙一さん(2018年1月配信)
佐賀県嬉野市の「肥前吉田焼」は有田町から20kmほど南にある温泉街。結成後最初の焼肉懇親会はこちらの温泉街で開催されました。
フラッグスのメンバー中で唯一有田町ではない副千製陶所ですが、その距離を全く感じさせないメンバーとの関係性と目的意識・成長意欲に圧倒されます。
その中でも強烈な個性を持って作品を生み出し続ける熱意とパワーはフラッグスのメンバーを引っ張っているように感じました!
進化をし続ける水玉
先のインタビュー記事にも掲載させて頂いたとおり、副千製陶所の水玉模様は2010年グッドデザイン・ロングライフデザイン賞を受賞しました。
フラッグスの活動として「つたえる」べきものはやはり水玉?
そうですね。この掻き落としによる水玉模様は実は50〜60年のロングラン商品であり、副千製陶所の初期の頃からのよさを再発見してもらったという評価は大変嬉しいことでした。
そのときには「懐かしい」という意見と「新しい」という意見が真っ二つに分かれ、世代を超えて認められたような気がして、これこそが伝えていくべきことなんだろうと確信しました。
そのような手応えを感じる一方で、「水玉」という模様だけで「高い付加価値」を説明しきれてないような感覚があり、作品にさらなる進化が必要なのではないかと考えるようになりました。
(写真)銀彩を施した水玉(J-DOTシリーズ)
つたうプロジェクト・フラッグスの活動の中での議論は、どうやってこの水玉というデザインと掻き落としの技術の価値を伝えるのかが課題でした。
グッドデザイン大賞を受賞したJ-DOTという製品をどうやって進化させていくのか、言い換えれば新しい商品をどう差別化していくかという方向性に悩みました。
バチッとはまった水玉&象嵌シリーズへのさらなる進化
新作のカラフルな水玉は衝撃的でした。かわいさとシャープさが同居しているような、すごい進化ですね。
副千製陶所の強み=搔き落とし水玉を強力に伝えるデザインを追い求めているところに「水玉に金彩ができないか」という依頼がたまたまあり、全てのパーツがいっぺんに繋がるような感覚になりました。まさに「これだ!!」という答えが見つかったのです。
(写真)試作段階の象嵌シリーズと制作途中の素焼き
これは漫然と新作を作っていたのでは感じ得ない、フラッグスの活動を通してでしか見つけられなかった方向性だと思います。
どういったところで「確信」を得たのでしょうか?
「他所様(よそさま)のしないことをする」「肥前吉田焼・副千製陶所にしかできないことは何か」を考え抜いたときに、難しいことにチャレンジして辿り着いたものだったからです。
このデザインは一見単純そうに見えて、意外に手間がかかっています。「彫り込み」の技法自体は同じような技術なのですが、カラフルな水玉の着色には均一な直径の彫り込みが必要になるため通常より深めに彫り込む必要があります。
これは作業効率をかなり落とすことになるため、コストがかかってしまうのです。
(動画)J-DOTの水玉掻き落としの作業風景
このような手間は製造面でのデメリットはある反面、副千製陶所にしかできない唯一のプロダクトになるということが瞬時に理解できました。
今のところこの商品は私一人しか作ることができない、特殊な技術を要するものになっています。また、失敗も多く歩留まりもよくないためたくさん作ることができない稀少なものです。
でもそれこそが「自社の強みはなんなのか」「自分たちが今この地で作る意味は?」という問いに対する答えなのではないかと思っています。
今後はどのような展開を考えていますか?
今後はこのパターンで形を増やしてみようと考えています。うちの特徴を表すのは水玉しかない、それは決まっていてそこからブレないことがフラッグスの活動を通じて明確になりました。
最終的に一見して「これ副千じゃない?」と言われるようなものを作っていきたいです。
副千製陶所 佐賀県嬉野市嬉野町大字吉田丁4116−14 ℡0954−43−9704
副千製陶所・副島さんの過去のインタビュー記事
【肥前吉田焼特集1】副千製陶所・副島 謙一さん(2018年1月配信)
フラッグス・副千製陶所 「象嵌シリーズ」はテーブルライフストアでお買い求め頂けます。
[取材・編集 テーブルライフ編集部]
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