やちむんの本場へ!沖縄レポート①~読谷村・やちむんの里編~

やちむんの本場、沖縄へ。素敵なやちむんとの出逢い

こんにちは、テーブルライフコーディネーターのNAYUMIです。

これまで数々のうつわ産地へ足を運んできましたが、今回素敵なうつわを求めて沖縄へ行ってきました!

沖縄といえば、そう、今巷で人気上昇中のやちむんですね!(やちむん目的で沖縄旅行される方も多いとか・・・)

【やちむんとは?その歴史や特徴は?】
沖縄の方言で「焼物」のこと。茶碗や飯碗、鉢や平皿などの日常で使う陶器を指す言葉です。その歴史は17世紀に遡り、ぽってりとした厚み、程よい重さ、そして沖縄の自然を表現しているような色鮮やかで力強いデザインが特徴です。

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やちむんの2大エリアのひとつ読谷村

沖縄県中部にある読谷村(よみたんそん)。こちらにはその昔「喜納焼」と呼ばれる窯場があったそうですが、琉球王朝により那覇市壺屋に窯元が集められることになり、17世紀には途絶えてしまったそうです。

その後1972年に後の人間国宝・金城次郎氏(故人)が読谷村に工房を構え、1980年に共同窯を4人の職人が完成させ「読谷山焼」を始めました。1992年には、ここで修業を積んだ若手陶工4人が読谷山焼「北窯」として独立し、現在読谷村には60以上の窯元が存在するほど活気に溢れています。

絶対外せない!やちむんの里

読谷村に行ったら絶対に外せないスポットが「やちむんの里」。

那覇市の国際通りから車で約45分、アメリカンビレッジからは約20分の場所にあります。

里内は19の窯元で昔ながらのやちむんから現代のライフスタイルにあったやちむんまでたくさん作陶されています。

村の入り口には無料駐車場2か所あります。(約60台分)ちなみに里内も車での移動、ショップ付近にも駐車可能ですが、ここは歩いて探索した方が楽しめるのでこちらに駐車することをおすすめします! 

≪やちむんの里≫
住所:〒904-0301 読谷村字座喜味2653-1
TEL:098-982-9216
※営業時間は窯元による
・読谷村観光協会HPはこちら
・「旅とヤチムン」(読谷村公式HP)はこちら

緑豊かでのどかな里内。散策するだけで気持ちの良い場所です。
歩いていると、沖縄らしいこんな看板もありました。

引用:沖縄情報IMA

シンボルは巨大な登り窯

やちむんの里には4つの登り窯がありますが、こちらが村のシンボル的存在の読谷山窯の共同登り窯。沖縄らしい赤瓦屋根のフォトジェニックな佇まいです。
登り窯はその名のごとく、傾斜のある窯で下から薪を焚いていきます。一番下にある焚き口に薪をくべ、その炎の熱が段々と登っていきます。

窯は今も現役で運が良ければ作業中の風景を見ることができますが、この日は誰もおらずひっそりとしていました。

この窯で出来た焼物を読谷山焼とし、その後この共同登り窯を中心にやちむんの里が発展していったと言われています。

読谷山焼窯共同売店

やちむんの里には2か所の売があり、そのうちの1つが読谷山焼窯共同売店。巨大な登り窯のすぐそばにあります。「読谷山焼」と書かれた大きな看板と登り窯と同じ赤瓦のかわいらしい建物が目印。

ここでは山田真萬氏、大嶺實清氏、玉元輝政氏、金城明光氏の作品を購入することができます。

こちらの売店はどちらかというとベテランの作家さんの焼物中心に販売されていますが、やちむん独特の大胆で力強いクラシックなデザインからシンプルでモダンなうつわまでたくさんのうつわが並んでいます。

≪読谷山焼窯共同売店≫
住所:〒904-0301 読谷村座喜味2653-1番地
電話:098-958-4468
営業時間: 9:30~17:30
定休日:火曜日
※HPはこちら

北窯

与那原正守氏、宮城正亨氏、松田米司氏、松田共司氏4人の共同窯です。同じ敷地内にそれぞれ工房を構え、それぞれが沖縄の伝統的なやちむんを作りながらお弟子さんたちに伝統を受け継がれています。

北窯の登り窯が作られたのは1992年。4窯元(宮城正享氏・與那原正守氏・松田米司氏・松田共司氏)の共同窯として開窯し、13の楕円の形をした焼成室が連なる大型の窯です。窯焚きは年4回。複数の工房の共同での窯焚きは全国でもとても珍しいですね。

(右奥にちらっと移っている屋根が北窯の登り窯)
残念ながらコロナ禍のため各工房と共同窯の見学はできませんでしたが、作陶は続けられており今でも多くの素敵な作品がここから生み出されています。

工房のすぐそばには北窯の共同売店もあります。
軒先のデコレーション。沖縄らしいハイビスカスを大きなうつわに浮かべた素敵な演出です。
こちらのショップもたくさんのうつわが販売されています。上は独特のブルーが印象的な與那原工房さんのうつわ。
それぞれ作風が全然違うので見ているだけでも楽しく、欲しいうつわがたくさんありすぎて目移りしてしまうほどでした!

≪読谷山焼北窯売店≫
住所:〒904-0301 読谷村座喜味2653-1番地
電話:098-958-6488
営業時間: 9:30~17:30
定休日:不定休
※HPはこちら

横田屋窯(ゆくたやがま)

北窯の松田共司・米司さん兄弟と共に、読谷山大嶺寶清窯で修行後、独立された知花實(ちばなみのる)さんの窯元。2002年にやちむんの里に開窯しました。
工房は村の奥の方に位置し、緩やかなスロープを上ったところにあります。

スロープを上るとまず最初に見えたのがこちらの素敵なうつわたち。

横田屋窯では土造り・白化粧・釉薬も全て手作り。知花さんがうつわを作り、奥様が絵付けをされています。お弟子さん含めて少人数で作陶されていることもあって、火入れは年に2回とのこと。

工房のさらに奥に進むと5連の登り窯が見えます。この窯は何と横田屋窯専用!元々森林だったこの地を自分たちで切り開き、6年もの歳月をかけて工房と窯を作り上げたそうです。手間暇かけひとつひとつ丁寧に作られたうつわは、沖縄らしいダイナミックな絵柄の中にも柔らかく上品さも兼ね備えていています。

≪横田屋窯≫
住所:〒904-0301 読谷村座喜味2651-1番地
電話:098-958-6488
営業時間: 9:00~18:00
定休日:不定休
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宙吹ガラス工房 虹

琉球ガラス作家の第一人者である稲嶺盛吉氏とその息子稲嶺盛一郎氏による宙吹きガラス「虹工房」。やちむんの里唯一のガラス工房です。

入り口を抜けると見えるのは八角形の吹き抜けの工房。
工房では稲嶺盛一郎氏とお弟子さんが二人三脚で作業されていました。

この時作られていたのは贈答用の花瓶。見学者が私たちだけだったこともあり、何と工房の中まで招きいれて下さり、目の前で製造過程を見ることができました!

鉄棒に絡めた小さな飴のような玉を火の中に入れたり冷やしたりと手際よく行い、それがだんだん大きくなって花瓶の形に変化する姿はまさに職人技。しばし見とれてしまったほどです。

沖縄のガラス製品【琉球ガラス】は、アメリカ軍基地で使われたコーラ・ビール・ウイスキーなどの瓶を再生して作られたのが始まりと言われています。

今でもそれは受け継がれていて、工房の片隅にはたくさんの空き瓶が積まれていました。

工房から少し奥に進むとギャラリーがあります。上は稲嶺盛吉氏の作品。
こちらは泡ガラスと呼ばれるもの。その昔は泡の入ったグラスは失敗作とされていましたがそれを逆手に取り、敢えて泡を含ませた清涼感のある作品を作り上げました。ちなみにこの細かい泡を出すのに使う材料はなんと米ぬか!身近なものでこんな素敵な作品が生まれるなんてすごいですね。

≪宙吹ガラス工房 虹≫
住所:〒904-0301 読谷村座喜味2748
電話:098-958-6448
営業時間: 9:00~18:00 工房見学は17:00まで。ギャラリーは年中無休 *ガラスづくり体験なし
定休日:日曜日(工場のみ)
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毎年賑わう陶器市、今年は中止決定

やちむんの里で毎年12月中旬に開催される「読谷山焼(ゆんたんざやき)陶器市」、今年はコロナの影響で中止となりました。

この陶器市ではやちむんをお安く購入できるとあって、掘り出し物を求める多くの人が訪れる大人気の市なので中止なのはとても残念です。

やちむんの里はご高齢の作り手さんが多いこともあってか、実際私たちが行ったとき(11月中旬)もいくつかのベテランの窯元は閉まっていてひっそりとした様子でした。

来年こそは是非開催できることを祈りたいです!
(その際再訪できればいいな・・・なんて思っています)

やちむんレポート第一弾は人気スポット、読谷村・やちむんの里についてでした。

まだまだ続く沖縄レポート、次回も是非ご覧くださいね!

IMG_0065 04テーブルライフコーディネーター NAYUMI

うつわコンサルタント/多国籍料理研究家/ベジフルビューティーアドバイザー
大学卒業後、就職をきっかけに海外生活開始。これまで世界6か国(シンガポール・フランス・トルコ・イタリア・ペルー・メキシコ)で生活し、それぞれの国で語学・料理・異文化を学ぶ。日本在住中に食空間プロデューサー・山本侑貴子氏に師事し、テーブルコーディネートインストラクター資格を取得。テーブルコーディネートレッスン、お料理レッスン、うつわのコンサルティング、ディスプレイ、作家・窯元取材、コラム執筆など多方面で活動。2019年テーブルスタイリングフォトコンテスト最優秀奨励賞受賞。2児の母。