【フラッグス・窯元潜入レポ】有田焼・皓洋窯 前田洋介さんインタビュー
伝統とモダンを追求し続ける有田焼窯元集団の「フラッグス」。こちらの特集記事で結成秘話から今後の活動についてレポートさせて頂きましたが、今回は皓洋窯(こうようがま)の前田洋介さんにフラッグスの活動と、その結果として開発された作品について詳しく聞いて参りました!
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有田焼・皓洋窯
所在地: 〒844-0012 佐賀県西松浦郡有田町桑古場乙2380−1
電話: 0955-42-2762
url:http://www.kouyougama.co.jp/
皓洋窯を訪ねました!
有田駅から徒歩11分、有田川のほとりに静かに佇む工房が「皓洋窯」。県道から一本中に入ったところにあり、とても静かなところです。工房の一角がギャラリーになっていて、皓洋窯の作品があります。
皓洋窯さんと言えば、「花つなぎ」など北欧テイストも少し感じるようなプレートをご存じな方もいらっしゃるかもしれませんね。
今回はリブランディングの課程で生まれてきた「フラッグス」のコンセプトについて伺って来ました。
たどり着いた「irodoru」シリーズ。
「つたう」プロジェクトを経て発表された2つのデザインの「irodoru」シリーズ。
このデザインに行き着くためにはいろいろな悩みや迷いがあったそうです。今回はこちらの開発秘話に迫りました!
ルーツは徳利と盃
「irodoru」シリーズにたどり着いた経緯を教えてください
皓洋窯はもともと地元商社に卸す「メーカー」として、先々代(祖父)が主に旅館向けの徳利や盃を納入していました。のちに先代(父)が、一般向けの家庭用食器を製造し始めました。現在は、手びねりの焼きものも作っています。以前は、有田の窯元は長い歴史の中でいろいろなデザインや形を地元の商社からリクエストを受ける形でも製造していました。
(写真)工房の上の棚に飾られている、かつての主力商品たち。これらがルーツになって今の皓洋窯があることを象徴しているようなディスプレイです。
渾身の「染錦(そめにしき)」の技法
デザインの決定経緯は?
有田焼創業400年事業で発表する作品として、今流行りのシンプルなデザインでは少し物足りなく感じたので、皓洋窯でできる最高の技術を織り込むべく手間はかかりますがあえて「染錦*」の絵付けを選択しました。
やはりこのようなプロジェクトで自分のやったことのないことにチャレンジするいい機会だと思ったのがきっかけですね。
*染錦(そめにしき)・・・「染付」と「錦」の両方の工程を経て作られる絵付けの技法のこと。「染付」は素焼きのうつわに染料で絵付けをし釉薬でコーティングをするもの、「錦」は釉薬でコーティングされたあとのうつわに絵付けをするものです。それぞれ「下絵」「上絵」と呼ばれることもありますが、染錦はその両方を用いた色鮮やかな絵が特徴です。
引用:皓洋窯ホームページより
デザインはどなたが?
自分がやりました。モチーフが決まるまでは、いろいろと悩みました。メインのモチーフ(市松・剣先)が決まってからは、細かい修正を繰り返し、今のデザインになりました。
もともとは先代(父)が作っていた手びねりの作品で色絵を使っていたので、自社の強みを活かすという意味でも伝統的な染錦をうまくアレンジできたと思っています。
ただし復刻というよりも「過去のルーツから現代風にアレンジをしたもの」という方が正確な表現かと思います。
引用:皓洋窯ホームページより
どんなメッセージが込められているのですか?
生活空間を彩る=「irodoru」をテーマに、大切な食事の時間を楽しく囲んでもらえたらという思いで作りました。
流行り廃りに左右されないずっと生活空間にあるものを意識し、伝統のよさと時代の移ろいを「染錦」というじっくりと手間をかけて作る技法で表現したつもりです。
この作品はどのような人に使ってもらいたいですか?
もちろん幅広い人に使ってもらいたいのですが、特に自分と同じ(前田さんは42歳!お若い!)かそれよりも若い層にも伝統のよさを味わってもらいたいと考えています。
長く定番品に育てていきたい作品
「irodoru」の今後の展望は?
まだ誕生したばかりの作品「irodoru」です。これからも、お客様のニーズに耳を傾けながら長く定番商品になるように大切に販売していきたいと考えています。
先に申し上げた通り、通常の商品よりも多くの工程を経て作られる家庭用としては贅沢な作品です。我々が伝えたいことがうまく伝わるよう、今後も発信を続けて参りたいと考えています。
〜工房の様子〜
「染錦」の手法は非常に手間がかかる、丁寧に作られた製品です。絵付け職人がひとつひとつ手書きで製作します。決して大きくない窯。ひとつひとつ手づくりで作る皓洋窯の温かさが伝わってきます。
皓洋窯の世界観が垣間見られるエントランスの床面。自然豊かな有田の地をぜひ訪れてみてください!
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[取材・編集 テーブルライフ編集部]