これだけは知っておきたい! 和食器のそろえ方とお手入れ方法
「和食器の種類」で紹介したように、和食器には色々な種類のうつわがあり、大きさやデザインも多種多様。最近は作家物の個性的なうつわも人気で、あれもこれも目移りしてしまいますね。選択肢がありすぎて、何をそろえればいいのか分からない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、そんなお悩みのために「そろえるべき基本のうつわ」と「お手入れ方法」についてお伝えします。
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◆まず、これだけはそろえたい! 食器の基本アイテム
一汁三菜の和食器アイテム
はじめに、そろえるべき器は、飯碗、汁椀、中皿、小皿、小鉢。これは、和食の基本である「一汁三菜」に基づいており、これさえあれば普段の食事をするのに十分対応できます。まずはこれらの器を家族分(または家族分プラス1セット)そろえましょう。
*一汁三菜とは:主食の米に味噌汁などの汁物1品、主菜、副菜、副々菜を添えた献立。
1.飯碗
毎日持ち上げて使うものなので、実際に手で持って選ぶのがおすすめです。手になじみが良いか、口当たりがよさそうか、重さなどチェックしましょう。また男女別でサイズが違うので確認しましょう。
材質: 陶器
商品名:原田窯/原田省平/シエル/飯椀(大)
生産地:愛知県蟹江町
サイズ:Φ12.5 × 高さ6.5cm
電子機器:電子レンジ使用可/食洗機不可
価格(税込):3,024円
2.汁椀
様々な素材のものがありますが、木製・漆器のものは熱伝導率が低いため、中のものが冷めにくいのが特徴。いつまでも温かいお味噌汁やスープが楽しめます。また口当たりも良く割れることも少ないため、長持ちするエコな食器です。
材質: 漆器 商品名:コド・モノ・コト/汁椀 ふーわん 作家名:デザイナー 吉田守孝/作者 中嶋武仁 生産地:石川県加賀市 サイズ:φ9.5× 高さ4.6㎝ 電子機器:電子レンジ・食洗機使用不可 価格(税込):4,860円
3.中皿
お肉やお魚など、主菜を盛り付ける中皿。どんな料理にも合わせやすい、白など無地のものがおすすめです。1人用のおかずはもちろん。パスタ・カレーなど洋食に使えそうな少し深めのものを選ぶのもいいですね。
商品名:楕円中皿/藤井美香 生産地:埼玉県 サイズ:24cm×21.5cm×6.5cm 価格(税込):4,428円
4.小皿
煮物や和え物など副菜をのせる小皿は平らなものと、深さのあるもの両方あると便利です。平らなものは和菓子やケーキ皿などに、深さがあれば醤油皿などにも使えます。重ねてコンパクトに収納できるので、来客用など多めにそろえてもいいですね。
写真の小皿は全部で6柄。柄違いで揃えるのも小皿の楽しみです。
材質: 陶磁器 商品名:福珠窯 銀彩染付丸紋 3.3寸段入り丸小皿 生産地:佐賀県 サイズ:Φ10.2×高さ1.8cm 電子機器:電子レンジ使用不可 価格(税込):3,456円
5.小鉢
深さのある小鉢は、酢の物や少し汁気のあるおかずに最適。サイズが小さいので、テーブルのアクセントになる個性的なものを選ぶのもおすすめです。紅葉の形などの小鉢があれば、それだけで季節を感じることができます。
材質: 陶器 商品名:京焼/黒川正樹/八角小鉢(大) 生産地:京都市 サイズ:Φ16.5 × 高さ5cm 電子機器:電子レンジ・食洗機 使用可 価格(税込):4,860円
◆一汁三菜の並べ方
そろえた食器は、下の写真のように並べます。
①ご飯:左手前に置きます。左手で持つ時間が一番長いため。
*左側に重要なものを配置する「左上位(ひだりじょうい)」という考えからきている等諸説あり。
②汁物:こぼすのを防ぐため、右手前に並べます。
③副々菜:漬物やおひたしなど、箸休めになるおかずを盛り付けます。
④副菜:煮物、蒸し物、焼物などの副菜は左奥に。
⑤主菜:魚や肉のメインの料理。手で持ち上げずに食べるので、右奥に並べます。
この配置は、食べやすいだけでなく、汁物、ご飯、おかずをバランスよく食べることができるようになっています。つまり、ご飯に含まれるジアスターゼが消化を助ける、合理的な並べ方なのです。
◆その他にそろえたいアイテム
●そば猪口~あると便利なマルチなうつわ
そば猪口はとても使い勝手の良いアイテムなので、基本アイテムに追加して持っていると便利です。そばつゆを入れるのはもちろん、小鉢としておかずを盛り付ける、湯呑やコーヒーカップ、デザートカップまで様々に活用できます。
材質: 陶器 商品名:小石原焼/カネハ窯/蕎麦猪口(大)飛鉋飛び鉋 生産地:福岡県朝倉郡東峰村 サイズ:Φ9 ×高さ7.5cm 電子機器:電子レンジ・食洗機 使用可 価格(税込):1,944円
●ガラス器~夏だけじゃない! 年中使える万能食器
透明なガラスの器は、清涼感があるため夏のイメージがあります。しかし、どんな器とも合わせやすいので季節を問わず使えます。お刺身やサラダなど、冷たい料理だけでなく、耐熱ガラスの器なら熱い料理にも対応できます。
●折敷(おしき)~カジュアルにもおもてなしにも使える
脚のないお膳で、1人分の食事を並べるための敷物。漆や木製など様々な素材のものがあり、最近ではランチョンマットのように使うのが主流です。汚れが拭けるので手入れが楽です。おもてなしだけでなく、普段の食事にも使えます。
引用画像:日本デザインストアオリジナル 折敷
◆和食器を買ったらやっておくこと
和食器を購入したら、以下のお手入れをしましょう。
お気に入りの器を長く愛用することができますよ!
・器の裏側の高台(糸底)をチェックし、ざらつきがあれば目の粗いサンドペーパーでこ
すり平らにします。そのまま使うと、テーブルや他の器を傷つけてしまいます。
・値札のシールやラベルはぬるま湯で洗って(もしくは少し浸けておく)はがします。
それでも取れない場合は、ドライヤー等の温風を当ててはがします。
・陶器は使い始めに十分水につけておきます。もしくは、鍋に器と米のとぎ汁をかぶる程
度に入れて火にかけ、沸騰したら弱火で20~30分煮沸します。これは、陶器は吸水性が高く、いきなり使うとシミになってしまうことがあるのを防ぐためです。
・土鍋は、たっぷりの水を入れ弱火にかけ、沸騰したら火を留めます。その後一晩おき、十分乾燥させます。そうすることで丈夫になり、ひび割れを防ぎます。
○器はセットでそろえなくてはいけないの?
和食器は、「5客1組」でセット販売しているものがあります。その理由として、縁起の良い数だから、「4人家族+予備の分」あるとよいから、など諸説あります。しかし、和食器に何枚そろえるべきという決まりはありません。
気に入ったうつわを見つけたら、まずは2個買ってみることをおすすめします。それで使い勝手が良ければ、さらに買い足すようにすれば無駄に増えることはありません。
終わりに
選択肢の多い和食器選びは、自分のライフスタイルに合ったものをそろえることが大切です。普段の食事メニューや家族の人数、または来客が多い、外食が多いなど、日常生活を振り返ってみると必要なものが分かりますよ。例えば、洋食が多ければ、和食器は小皿や小鉢など、場所を取らずアクセントになる物だけをそろえる楽しみ方もありますよ。
Chiaki(粟村千晶) テーブルウェアスタイリスト&整理収納アドバイザー 一般社団法人テーブルウェアスタイリスト連合会認定プロフェッショナルテーブルウェアスタイリスト・食空間コーディネーター3級・整理収納アドバイザー1級。 このコラムでは、テーブルコーディネートの専門知識や現場でのコーディネート経験をいいかして、おすすめのうつわ紹介から食器収納のアイデアまで幅広い情報を発信していきます。 Instagram:awamurac Blog:https://tablestyling.amebaownd.com/