【小石原焼・高取焼特集③「鶴見窯」】ゴールデンウィークに東峰村『民陶祭』で行きたい窯元7選、その3「鶴見窯」

小石原焼 鶴見窯

和田義弘

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2017年、今年の小石原焼・高取焼の「春の民陶祭」はGW(ゴールデンウィーク)の5月3日から5日まで東峰村で開かれます。約50軒の窯元が集まる中から、ぜひチェックしたい7軒の窯元をテーブライフがピックアップ。第三弾は「鶴見窯」をお送りします。

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新しい小石原焼を牽引する、若手のトップランナー

小石原焼が元気がいいのは、若手の作家が活躍しているからです。2代目、3代目にが戻ってきて、伝統を活かしながら現代的な食器を焼いて人気になっています。

鶴見窯の和田義弘さんもそんなひとり。モノトーンの渦巻き模様や、シンプルで軽い飛びカンナの入れ方で小石原焼に新風を吹き込みました。

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もともと義弘さんは体育教師になろうと思っていたそうですが、途中で方向転換。大学進学をやめて、京都の伝統工芸の学校で焼き物の勉強を始めました。

「進路にだけでなく、私がしていることに関して父は何も言わないです。好きなようにさせてもらっています。本当はもう少しアドバイスして欲しいんですが」

「京都の伝統工芸専門学校で学んだあといったん帰ってきたら、そのまま出られなくなってしまって」と笑う義弘さん。同じ頃に同級生たちが小石原に帰ってきたのも、ここで頑張るきっかけになったそうです。

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「周りにすごい先輩たちがいっぱいいたから、遊びに行って見せてもらったり。どう作るか聞いたりしました。作りきれないけどとにかくやってみました」

京都で学んだので、帰ってきた頃は手書きで「赤絵」の絵付けもしていましたが、転機は東京のイベントでの体験でした。

挑戦の気持ちも、新しいアイデアも、お客からもらった

イベントに来たお客様に、歴史的に関係の深い「小鹿田焼(おんたやき)」と間違われてしまったのです。小鹿田焼は古くからの伝統の形を変えないのが身上。それなら小石原焼はもっと現代的に変えてみよう。そういう挑戦を始めたのが16年前、二十歳の頃だったそうです。

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お客の中には、飛びカンナの入り方がぎっしりすぎて息苦しいという人もいました。そういう感想を聞いて軽快な感じを目指そうと、色々な新しい試みを始めます。

飛びカンナは間を開けたり、少なく入れてみると余白の美やシンプルさがきわ立ちモダンな表情が生まれました。

「ドット飛びカンナ」や、光沢のある黒を使った新しい小石原焼は彼の手から誕生したのです。

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「もともと黒い化粧土を持っていたので、黒い飛びカンナを作ったり、渦模様を入れました。これは賛否両論で、好き嫌いがはっきり別れました。斬新な表現も、定番になるまで色々試してみています。

黒化粧土は父の代から使っていたのですが、かすれるように入れていたのをキレイに、ツヤも出るようにしています」

京都仕込みなのでもともと薄く作っていたところはありましたが、さらに重量も軽さを意識するように。

驚異の新作発表ペースで、ますます増える定番アイテム

どんなものを作ったらいいかお客様に聞きながら、どんどんアイテム数は膨れあがるいっぽう。AとBがあると、その中間が欲しいとよく言われるのが原因。

とはいえ自分で考えたものを好き勝手に作ってみて、受け入れらないときはどこが悪かったのかを追求して手直しを続ける確かな作り手として、日々を重ねています。

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年2回の陶器市「民陶祭」にサイクルを合わせて新作を発表しているが、アイテムだけでなくデザイン柄もバリエーションが増え続けているようです。

それは例えば、渦模様の入れ方を変えると、飛びカンナの入れ方も自然と変わってくるということ。

「何となくしているんですが、渦巻きの入れ方をいろいろ強弱をつけているんですよ。これは少し細く入れておるんですが、その時は飛びかんなはドットにしています。

もっと荒々しい色のつけ方をすると、飛びカンナも荒々しくなりますね」

黒x白のツートーンだけでなく、様々な色焼も登場しています。

「焼き物用の顔料があって白土に混ぜて色のついた生地を作るんです。それに飛びカンナなどを入れて、透明の釉薬やベージュの釉薬、白いマットになる釉薬をかけるなどして、種類がどんどん増えて行ってしまうんです」

でも、と前置きして「種類の多さを作り出せるから、今のポジションを守れっているのかな」

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「これみたら鶴見というのもあるんだけど、定番だけでもいろいろありすぎて。

黒x白を見てうちと思っていただけるところはあるのだけど、誰にでもできるので同じようなものは出てきています。

どちらが先とかはわからなくなってくるので、ネーミングをつけて何とかシリーズとかやっていた方がわかりやすいのかな」

元気のいい小石原焼だからこそ、産地内競争も厳しそうですね。

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変わった形の焼き物を見つけました。「何ですか? これは」

「引き出しの取っ手何です。もう商品として、家具屋さんに卸しています。うちの店にある、棚の引き出しの取っ手もみんなこれに換えます」

応接のテーブルには、コーディネーターがゼッタイ喜ぶスタイリッシュな陶板が何パターンが置かれていたり、今後はうつわ以外も活躍しそうな予感です。

 窯元名 鶴見窯
 窯主 和田 義弘
 住所 福岡県朝倉郡東峰村大字小石原2443
 電話番号 0946-74-2552
 営業時間 9:00~18:00
 定休日 不定休
 ホームページ http://www.tsurumigama.com/
  フェイスブック https://www.facebook.com/tsurumigama/

○和田義弘経歴

昭和49年  父米敏が窯を開く
昭和54年  小石原で生まれる
平成10年  大分県立日田高校卒業
平成12年  京都伝統工芸専門学校卒業
小石原で作陶を始める
平成13年  全国伝統的工芸品展入選
      全国伝統的工芸品展入選
      福岡県伝統工芸品展入賞
平成14年  全国伝統工芸品展入選
      金沢わん・ONE大賞入選
      福岡県伝統工芸展入賞
平成15年  金沢わん・ONE大賞入選
      ながさき陶磁展入選
      西日本陶芸展入選
      福岡県伝統工芸展入賞
平成16年  全国伝統的工芸品展入選
平成18年  福岡県伝統工芸品展入賞
平成23年  小石原焼伝統的工芸品展入賞

○「鶴見窯」のうつわが買えるお店

東峰ムラガールズ アンテナショップ『With+(ウイズプラス)』

福岡市中央区鳥飼3丁目7番21号
Tel: 092-741-5148
Fax: 092-720-9618
Open 10:00〜17:00
定休日 水・日
URL: https://withplus.jimdo.com/

○個展・展示会の予定

第10回九州窯元行列in串間

開催期間:2017年5月26日(金)~28日(日)
■26日(金) 9:00~18:00
■27日(土) 9:00~20:00 *夕市開催17:30~20:30
■28日(日) 9:00~17:00

開催地:旧吉松家住宅 周辺

宮崎県串間市西方5509−イ 旧吉松家住宅

【お問い合わせ】串間商工会議所TEL:0987-72-0254

ホームページ:http://kushima-yeg.com/20th/

○ギャラリー・ショップ(直営店)

小石原焼の窯元は、ほとんど窯場に隣接してショップを併設しています。

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玄関にある「七窯土」とは、志を同じくする窯元たちのグループです。

https://www.facebook.com/nanakama/

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中は新作や定番がたくさん!

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もちろん窯元直売の「小石原価格」です(^^)

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マットな色調のシリーズも登場。

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こんな長皿や、オーバル皿も。

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指描きや、刷毛目、筋描きの合わせ技。

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まだまだあります。

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カップ類です。

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小物もこのセンス。

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小石原地区に登っていく街道の途中に、「上鶴窯」「高取焼宗家」と並んで立っています。「民陶祭」のときは、このエリアも見逃せませんね。

(取材・撮影テーブルライフ編集部)