九谷焼
虚空蔵窯 市田貴洋さん
九谷焼窯元特集第2弾は、かわいらしい器が特徴の虚空蔵(こくぞう)窯。営業部長の市田貴洋さんにインタビューしてまいりました!
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-創業の経緯について教えて下さい
工房の奥に「虚空蔵山(こくぞうやま)」という山があり、窯の名前はそこから名づけました。(編集部注:虚空蔵山という山は全国に10以上あり、そのうちの一つです)
父が九谷焼の商社から問屋として独立したのが1992年。もっと面白い手作りのものを作ってみたくて、職人ではない父が作り手さんと出会って窯元を始めたのが1997年でした。手作り・手描きの土ものに絵付けをするスタイルで20年やってきたことになります。
また私には弟がいるのですが、彼がろくろを回し、私が営業を行っています。そのほかろくろ職人・絵付け職人として5人の社員がおりますが、いずれも20代・30代と若手ばかりです。またうちは分業の進む九谷焼の中でも珍しく、一貫生産をしているんです。
-こだわりは何ですか?
ひとつひつ手作り、そして手描きであるという点です。これまで基本的には受注生産するスタイルで続けてきました。そのため卸販売がメインになっていて、あまり一般向けには販売しきれていないですね。でも逆に言えば「自分たちで作る」というのは「いろいろなものを作れる」ということ。デザインして、生産して、販売まで自分たちで手がけることによって、様々な制約を受けずにものづくりができることにこだわりと喜びを持っています。
ーだからラインナップがすごいんですね!
自分たちで自由に好きなものが作れるからどんどん増えていってしまいますよね(笑)
-作品の特徴を教えて下さい
何といっても個性的なデザインだと思います。これらは着物柄をイメージしているんです。
でも最初は全体的にデザインを描き込んだこってりとした柄が多かったのですが、もう少し今の時代に合った、余白を残しながらも九谷焼らしさを出せるようにと、色々と試行錯誤して出来上がったのが今の作品です。
そして今、作品の1つである花柄に注目していただき、東京オリンピックに向け海外メーカーからの発注も受けたりと、九谷焼と虚空蔵窯の世界観が国内だけでなく海外にも浸透し始めたような手応えを感じていますね。
その例として上のテキーラボトルのデザイン受注を受けました。このデザインはもともとはプレートに描かれていたデザインなのですが、かなり反響があり2018年のプレミアム版デザインとして製作することになりました。(※海外向けなので国内販売はしていないそうです)
-売れ筋アイテムは何ですか?
黒のいっぷく碗(下記画像)ですね。2014年にタレントの梨花さんがinstagramで紹介して下さったのがきっかけで、彼女のショップ(代官山・メゾンドリーファ)にも置いてもらった後はすごい勢いで売れました。3年ほど経った今でも未だに反響があります。
-OFFの日は何をされていますか?
家族サービスが多いですね。今の季節はスキーによく行きます。
-今後の展望を教えて下さい
九谷焼は伝統工芸ですが、もっと色々な人に身近に感じてもらえるような器作りをこの先も行っていきたいです。
こちら1Fが工房、2Fがギャラリーになっていて、取材に伺った日はちょうど1週間に一度の窯入れの日。運よく火入れの様子を見学することができました!
今後の予定として、3月中旬に日本橋高島屋と横浜高島屋で『春の虚空蔵窯展』の開催が決まっているとのこと。
関東地方にお住まいの方は是非足を運んでみてくださいね!
虚空蔵窯 〒923-1224 石川県能美市和気町井55-3 Tel:0761-51-6001 HP:http://www.kutani-kokuzougama.com/