笠間焼の陶芸作家たちが企画・運営する陶器市
自由な発想の新しい笠間焼に出会えるチャンス!
「陶とくらし2017」【11月2日~5日開催】
全国的に有名な陶器の産地のひとつである茨城県笠間市といえば、もちろん「笠間焼」。その歴史を紐解けば、江戸時代中期の1770年代に遡ります。近江信楽の陶工を招いて窯を築き、陶器を焼いたのがその発祥。陶器の産地としては江戸からも近いこともあり、当時の笠間藩にとっても窯業は藩の財政にとって欠かせないものだったらしいですね。現代でも笠間市は、栃木県の益子町と並ぶ窯業産地として有名であることは、陶器通でなくともよく知られているところです。
陶器作りが盛んであるだけに、笠間市では年に4回の大きな陶器市が開かれています。春の「陶炎祭(ひまつり、と読みます)」、夏の「笠間ロマン」、秋の「陶と暮らし」、正月の「彩初窯市」の4つがそれ。この他にも陶器に関するイベントがたくさんあり過ぎて、とても全部は網羅しきれないほど。それほど窯業が盛んな町です。
笠間4大陶器市のひとつ。作家主催のオリジナリティ
その〝笠間4大陶器市〟の中でも、開催が直近に迫ってきたのが「陶と暮らし2017」。今年は11月2日(木)から5日(日)までの4日間に渡って開催されます。
会場は、笠間芸術の森公園内にある「笠間工芸の丘」の特設会場。去年の会期中の来場者は約2万人。今年で6回目の開催というから、〝4大〟の中でも比較的新しい陶器市かもしれません。
写真出典:「陶と暮らし2017」ホームページより
でも「陶と暮らし」は普通の陶器市とはちょっとちがう! というのも、例えば陶器市というと自治体の観光課や地域振興課などが主催になるケースが少なくありません。ところが、この「陶と暮らし」は笠間焼の陶芸作家さんたちが集って企画した陶器市。これが最大の特徴なんです。つまり、主催の「陶と暮らし実行委員会」は、全員が笠間焼の陶芸作家たちということ。そのため「陶と暮らし」は、「研鑽を重ねた陶芸作家さんたちの新作発表の場」であるわけです。
話はちょっと脇道に逸れますが、笠間焼は「特徴がないのが特徴」と言われています。特徴といえば、笠間焼は関東ローム層から出土する笠間粘土や花崗岩の風化によってできた鉄分を多く含む蛙目(がいろめ)粘土なんかが陶土として使われていて、丈夫で長持ちするため、日常雑器にぴったりといったところです。「特徴がないのが特徴」だからこそ、陶芸作家さんたちの創作意欲をそそる──と、勝手に解釈してみました。
話を戻すと、「陶と暮らし2017」では笠間焼の陶芸作家、新人から中堅、ベテランまで多種多様な表現方法で作られた新作を鑑賞することができます。もちろん、鑑賞するだけじゃありません。会場内にカフェを開設し、そこで実際に笠間焼の陶器でコーヒーブレイクを楽しむこともできるんです。
もし、使ってみて気に入った陶器があればテントにまっしぐら。陶器を購入するだけでなく、陶芸作家さんと記念写真を撮らせてもらえれば、インスタなどにアップしたくなるかも!?
今回出展する陶芸作家さんは、総勢88名。これだけの陶芸作家さんがいれば、お気に入りの陶器もきっと見つかるのでは?
写真出典:「陶と暮らし2017」ホームページより
作陶実演イベント「ツクルがミエル」
見どころといえば忘れてならないのが、会期中に行っている「ツクルがミエル」というイベント。どういうものかというと、出展作家のみなさんが来場者の目の前で絵付けをしたり、マグカップに把手を付けたりする作業を見せてくれるというもの。今のところ8名の陶芸作家さんたちがスタンバイしているそう。「ツクルがミエル」のテントブースの旗印が目印です。
あとは11月3日、4日、5日に開催予定の「ロクロ実演」。こちらも熟練の技を間近に見ることがでるチャンスです。
ちなみに、会場となっている「笠間工芸の丘」では、陶芸体験もできるとか。さらに、陶器以外にも木工や漆工など、笠間ならではの工芸品を鑑賞することができるそう。
公園だけでも魅力的!お子さんも大喜び
会場の笠間芸術の森公園は54ヘクタールという広大な敷地を有する自然公園。遊び場広場でお子さんを遊ばせ、お父さんは陶器市をじっくり堪能。そんな家族連れの来場者も多いそうです。3連休のレジャーとして利用してみてはいかが?
【開催概要】
「陶とくらし2017」
交通アクセス:http://www.kasama-crafthills.co.jp/access/
ホームページ:http://www.toutokurashi.com
主催:陶と暮らし実行委員会
日時:
11月2日(木)~11月5日(日)9:00~16:00(最終日~15:00)
会場:
笠間工芸の丘特設会場
〒309-1611茨城県笠間市笠間2388-1
アクセス: <自動車> 北関東自動車道「友部IC」または常磐自動車道「友部スマートIC」(市内無料臨時駐車場よりシャトルバス無料) <鉄道> JR水戸線「笠間駅」または「友部」駅より会場までシャトルバス(大人100円/子ども50円)あり。 「笠間駅」よりかさま観光周遊バス(100円)、レンタサイクルもあり。 <高速バス> 秋葉原駅発・関東やきものライナー(1,500円・2枚2600円)「やきもの通り」下車 ※陶器市期間中は予約ができません。当日秋葉原駅で並んで乗車するしかありません。 やきものライナー案内パンフレット(PDF) また、一日1本程度ですが益子←→笠間のバスも運行しています。一挙両得を狙う人はこちらも注目です。
2017年10月31日現在[取材・編集:テーブルライフ編集部・取材協力はちどり]