【京焼・水焼特集】美術家・小川宣之さんインタビュー
こんにちは、テーブルライフプランナーのNAYUMIです。
今注目の京都の美術家・小川宣之さんのアトリエ&工房に潜入、直接ご本人にインタビューを行って参りました!
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〜 美術家・小川宣之 陶歴〜 1963 京都生まれ. 1989 京展 初入選(以降16回入選) 1993 朝日現代クラフト展 1994 京都工芸ビエンナーレ. 1996 益子陶芸展 2005 ファエンツア国際陶芸展金賞(イタリア) 2007 GHISELLI 2007 A/Wコレクション(ミラノ) 2011 常滑賞陶芸展 2012 現代茶陶展 2013 神戸ビエンナーレ現代陶芸 コンペティション 奨励賞 2015 マイヤー×信楽大賞 日本陶芸の今 -伝統と革新- 「盌にあそぶ 」(アートスペース 感/京都) 高島屋京都店美術工芸サロンにて個展 2016 「Rencontre いま、ここで、出会う」 交差する現代陶芸コレクション(兵庫陶芸美術館) 金沢世界工芸トリエンナーレ 2017 KOGEI Art Fair Kanazawa2017 【コレクション】ファエンツァ国際陶磁博物館(イタリア)/兵庫陶芸美術館
早速ギャラリーへ
小川さんのギャラリーは京都市内の路地奥に入った閑静な住宅街の中にあります。
レトロとモダンがミックスされた空間。でも色味が統一されているからか、全然違和感がありません。
棚にはご自身の作品がたくさん並べられています。その中にゴッドファーザーの写真集がさりげなく置いてあるのですが、これがまたアクセントになってすごく素敵なんです。
-ご自身について教えてください。
生まれも育ちも京都で、陶芸学校卒業後に父の窯元(松峰窯)で手伝いをするようになってから今日までずっと作陶しています。
こういうのも変な話ですが、家が陶芸をしていたことで設備や販売ルートなど陶芸活動に必要なものは全て揃っていました。つまり生まれながら既にレールが敷かれていたんです。物心つかないうちから器に触れていたので、陶芸活動することが自分の中では普通のことで特別大好きというわけでもなく、だからといって嫌いなわけでもない。でも元々飽きっぽい性格なのに辞めたいと思ったことは一度もないんです。ということはやはり好きなのかもしれませんね(笑)
デザインの参考はファッションから
-小川さんの作品はとても個性的ですね。何か参考にしているものはありますか?
元々ファッションが大好きで、作品はアパレルに影響されたものが多いです。昔はジョン・ガリアーノの影響を受けてパッチワーク柄、ここ最近はクリスチャン・ルブタンに影響されたデザインが多いですね。
ファッション好きは小学生からで、今から11年前にミラノの展示会に出展した際、ファッションデザイナーさんの話を聞くことができすごく嬉しかったのを覚えています。ちょうどその時はイタリアでドルチェ&ガッバーナが流行していて、デザイン的にもすごく刺激を受けました。色味や縫製、フォルムなど、色々な角度からインスピレーションを受け、それを元に作品作りをしていますね。また、シーズンごとのコレクション情報には目を通してその時の流行デザインも必ずチェックしています。
でもあくまでもベースは京焼(清水焼)です。そこに自分の感性を織り交ぜて出来上がったのが今の作品なんです。
-作陶にあたりターゲット層はありますか?
老若男女問わず色々な方に見てほしいですね。今は自分の家にある器や自分が作る料理をイメージし、組み合わせを考えたり、テーブルコーディネートを参考して器を購入している傾向があると思います。つまり、シチュエーションを考えて器を買う。それに対してどうアプローチすればいいかを考えながら作品作りをしています。
また自分が作る作品は決して安価なものではありません。ミラノの展示会でとある方から「ピラミッド型の一番下の層を狙うのではなく、上の層が求めるもの、つまり高価なものを作ると、マジョリティも欲しくなるはずだ。」と言われ、なるほどと思いました。
実はここ最近香港のお客さんが多いんです。湯呑み・ぐい吞みを使って下さっている大阪のお客さんの中に香港の方がいらして、その方がご紹介していただくことで他の方も購入して下さったりしています。
-今後の方向性や課題、やってみたいことについてお聞かせください。
この仕事に定年はありませんが、エネルギッシュで且ついいものを作れる年代、それが40~60歳ぐらいだと思っています。今自分がまさにその中にいます。その後は体力的にどうしても落ちてしまうことを考えたら60歳ぐらいで引退もありかな、と思っています。でもこれはあくまでも理想。その歳になってもセンス、体力が持続できれば続けて行きたいですね。そのためにはやはり常に流行のアンテナを張り巡らせることが大事だと思っています。
-京都という場所柄どうしても保守的なイメージが強いですが・・・
確かにそれはありますね。でも伝統的なものはどこかに必ずいいものがあります。自分は父の仕事をそのまま引き継いだので、実は基本的な部分をあまりやっていないんです。リメイクなり、自分のテイストを加えることで京焼・清水焼のテイストを伝えられるか、それが課題でもあります。
でもこれは自分自身の問題であって、京都という土地柄なかなか新たな開拓地を作るのが難しい部分は当然あります。自分には弟子と呼べる人はいませんが、陶芸活動に対する熱意や姿勢を地元の若い陶芸家たちに引き継いでもらえるよう、また京焼・清水焼をもっと広く色々な人に知ってもらえるよう彼らのためにできるだけサポートしていきたいと思っています。
(ちなみにこのインタビューの翌日に伺った信楽作家市で小川さんを慕う有名作家さんや若手作家さんがとても多くて本当に驚きました!)
今後やってみたいことといえば、ファッションデザイナーさんとのコラボや期間限定のアンテナショップ・・・等、やはり大好きなファッションと絡んだイベントですね。
そして陶芸を辞めたらやはりファッションに関わることができればいいな、なんて漠然と思っていたりもします。人生一度きりですからね。(笑)
とてもオシャレな小川さん。ファッションに対するこだわりをお持ちだけあって、一見アパレル関係者かと思わせるコーディネートは本当に素敵です。
-OFFの日の過ごし方を教えてください。
やはりアパレルショップ巡りをすることが多いです。東京に行くことがあると気になるお店を事前にチェックして足を運んでいます。東京は京都と違ってやはり規模が大きい分ソフト面の凄さも実感しますね。
またファッション以外にもオーディオやクラシックカーがお好きで、陶芸活動とは別にご自身の趣味をしっかり楽しんでいるとのことです。
〜工房の様子~
それほど大きくない工房でスッキリとした空間です。
〜今後の活動〜
8月7日(火)~8月10日(金)京都・五条坂 陶器まつり
8月31日(金)〜9月2日(日) Argillà Italia(イタリア・ファエンツァ)に出展予定
小川さんの作品との出逢いは昨年のとある展示会。たくさんブースのある中、目を奪われたのがこちらのプレートでした。
その後幸いなことにこちらの器を使って住宅展示場コーディネートをさせていただくことができ、すごく嬉しかったのを覚えています。
上のコーディネートについてはこちらをご覧ください。
以前からお会いしたかった作家さんということもあり大変緊張していた私。でもお互いファッション、イタリアが大好きという共通点もあってか、器以外の話題もかなり出て、終始和やかな雰囲気の中大変楽しくインタビューさせていただきました。
とても穏やかで物腰の柔らかい口調でありながらも、流行をしっかりキャッチしつつ自分のスタイルを持っている小川さん。それはエッジの効いた、金色や銀色を用いた豪華さ・豪放さを持った独自のユニークな世界観を表現した器にも表れています。
引き続き小川さんのご活躍を応援したいと思います!
インタビュー後に一緒に写真を撮っていただきました。
小川さんの器を下記のお店で直接手に取って見ることができます。
・京焼・清水焼 茶わん坂 東五六
また弊社オンラインショップでも取り扱っております。そちらも是非ご覧下さい。
テーブルライフプランナー・NAYUMI
大学卒業後、外資系航空会社就職をきっかけに海外生活開始。結婚後も日本と海外を行き来しながら、これまで世界5か国(シンガポール・フランス・イタリア・トルコ・ペルー)で生活し、語学・料理・異文化を学ぶ。帰国後は食空間プロデューサー・山本侑貴子氏に師事し、テーブルコーディネートのインストラクター資格を取得。住宅展示場でのテーブルコーディネート、テーブルコーディネートレッスン、自宅でのお料理レッスン、コラム執筆など多方面で活動。またファッション好きが高じ、光文社雑誌STORYでブロガー(デジタリスト1期生)としても活動中。9歳・7歳、女児の母。現在6か国目となるメキシコ在住。
ブログ : https://storyweb.jp/digitalist/author/hosoyanayumi/
Instagram : @belmomentodinayumi