艶やかな装飾に思わずため息…
「京焼・清水焼」の大陶器市!
100円から100万円以上まで、50万点超の品揃え!
第43回 大陶器市『京都・山科 清水焼の郷まつり』
毎年10月の第3金曜日から日曜日までの3日間に渡り開催される清水焼の大陶器市「京都・山科 清水焼の郷まつり」。43回目を数える2017年は、10月20日(金)から22日(日)のスケジュールで開催!のはずだったのですが…なんと最終日の10月22日が台風21号の接近に伴う天候不良でやむなく中止に…。残念ながら2日間での短縮開催となってしまいました。
オフィシャルサイト:http://www.kiyomizuyaki.or.jp/fest/
清水焼団地協同組合に今年の開催の様子をうかがったところ、来場者数は3日間開催の昨年が約68,000人だったのに対し、今年は2日間で約3万人。台風が迫り、開催を通じてあまり天候に恵まれなかったことを考えれば、この来場者数はかなりの数字。清水焼の人気は「さすが!」と言えるものでしょう。
今回の「清水焼の郷まつり」の出店数は窯元・作家・小売店(飲食含む)など計195軒。テントならびに店舗数は118軒。天気さえ良ければ当然、来場者数も伸びていたはず。ちなみに下にアップした写真は昨年の大陶器市の様子。誠にもって残念です。
清水焼の未来像を垣間見る「若手陶芸家支援プロジェクト」
今回の「清水焼の郷まつり」の見どころだったのが、「若手陶芸家支援プロジェクト」という出店枠を設けたこと。独立して10年未満の京都府内で作陶している陶芸家が作品を発表できる貴重な機会でした。
清水焼は、備前焼や信楽焼、有田焼などと違って、決まった土や釉薬、技法がないという点が特徴。しかも京都は古都であり、公家や武家などの求めに応じ、茶道の茶器から様々な焼き物を生み出してきました。高貴な方々に向けて作られてきたため、高級志向と艶やかな装飾の美しさ、現在でいうところのデザイン性などは、他の焼き物とは一線を画す部分が見受けられます。「清水焼の窯元や作家は、個性が強い」と言われることもありますが、それもこうした歴史的な背景があるからでしょう。
今回の「若手陶芸家支援プロジェクト」では、それこそ個性的な清水焼だけではなく、未来の清水焼を予感させるような作品に出会うことのできた機会でもありました。
装飾の美しさに、思わず見とれてしまいます
写真提供:清水焼の郷
2018年秋の「清水焼の郷まつり」でも、「若手陶芸家支援プロジェクト」を実施すると思われます。さらに斬新な清水焼に出会えるかも!? 楽しみに待ちたいですね。なお、2018年の「清水焼の郷まつり」は、10月19日(金)から21日(日)の開催予定。しっかり予定を立てておきたいところです。
さて、この「清水焼の郷まつり」。「3日間限定、年に一度の大陶器市」と銘打っているだけあって、陶器市としては「超」がつくほどお買い得な清水焼の焼き物を手に入れることができます。「家庭用、業務用の食器や陶芸品、珍品に逸品、わけあり商品、さらには独創的な手作りの清水焼を破格値で提供」というキャッチフレーズのもと、価格も100円から100万円以上のものまで、とにかく様々。しかも品数はなんと50万点超!ということでしたから…返す返すも台風による会期の短縮が惜しまれます。
現代は「京焼」と「清水焼」の区別はしていない!?
ところで、この陶器市の会場である「清水焼の郷 清水焼団地協同組合」。こちらは、京都の山科区、東山山麓東側の丘陵地に位置し、京焼・清水焼の卸問屋、窯元、作家、陶磁器原材料屋、指物師、人形師、碍子など焼き物に関する業社が軒を連ねている町になります。
※「清水焼の郷」ホームページはコチラ http://www.kiyomizuyaki.or.jp
京都の伝統工芸品である「清水焼」は、その名称の通り「清水寺へ向かう清水坂界隈の窯元で焼かれていた焼き物」を指しての呼称でした。しかし、現在では「清水焼の郷」のある山科区や、「清水焼発祥の地」とも言われる五条坂を要する東山区(こちらでは、8月上旬に「京阪本線・清水五条坂駅」から若宮八幡宮に至る「五条通」で「京都五条坂 陶器まつり」を開催。400店を超える陶器商の出店で賑わい、五条の夏の風物詩としても親しまれています)、宇治のあたりで作られる焼き物が「清水焼」と呼ばれています。
「京都の山科に『清水焼の郷』?」と疑問に思った方がいれば、鋭い観察力をお持ちの方。一つうんちくを披露させていただくと、京都には清水焼のほかにも、粟田口焼、八坂焼、音羽焼、御菩薩池焼などが市内各所にあり、これらを総称して「京焼」と呼んでいました。清水焼は経済産業大臣指定の伝統工芸品でもありますが、正式名称は「京焼・清水焼」。そこからすると、現代において、京焼・清水焼は区別されていないことがうかがえます。
陶器市以外でも楽しめる「清水焼の郷」ギャラリーに展示してある「洛中洛外屏風図」は必見!
大陶器市の3日間でなくとも「清水焼の郷」は、陶器好きにとって魅力的な町。「清水焼の郷」にある工房の雰囲気がうかがえる写真と案内マップを下にリンクしておきます。
※「清水焼の郷」のマップはコチラ
http://www.kiyomizuyaki.or.jp/wp/wp-content/themes/kiyomizuyaki/img/map.pdf
町には清水焼の窯元や工芸品の工房などがたくさん並んでいます。普段の日では窯元や工房のすべてを見学することこそできませんが、街並みを歩くだけでも「清水焼のふるさとを訪ねる」という風情を堪能することができます。
また、「清水焼の郷」において必見といえるのが、「清水焼の郷」の南に位置する「ギャラリー洛中洛外」です。
下の写真をご覧ください。この圧倒的な存在感! 実はこれ、陶板で製作された「洛中洛外図屏風」なんです。
清水焼の郷・ギャラリー洛中洛外に展示されている清水焼の陶板で製作した「洛中洛外屏風図」
写真提供:清水焼の郷
インスタグラムにアップしたら、ど迫力の清水焼を発信できそうです。さらにこちらには、手びねり体験や絵付け体験ができる施設もありますので、ご自身の手で清水焼を楽しんでみるのもおすすめです。
【2018年の開催概要】
「第44回 大陶器市『清水焼の郷まつり』」
開催予定日:2018年10月19日(木)~21日(日)
交通アクセス: http://www.kiyomizuyaki.or.jp/fest/access/
お問い合わせ:清水焼の郷 清水焼団地協同組合(TEL 075-581-6188)
ホームページ: http://www.kiyomizuyaki.or.jp/fest/
会場:京都府山科区、清水焼の郷周辺(清水焼団地)
〒607-8322 京都府京都市 山科区川田清水焼団地町10−2
アクセス <自動車> 駐車場は極めて限られておりますので、公共交通機関でお越しください。 <鉄道> 京都駅より臨時直行便(約20分)あり。時刻表
2017年11月10日現在[取材・編集:テーブルライフ編集部・取材協力はちどり]