食器を送る際、どのように荷造りをしていいかわかりますか?
食器の宅配について、梱包をどの程度頑丈にしたらよいか、どうやったら割れないかを説明しているサイトは案外少ないです。
実は宅配では、手作業で1度の上げ下ろしで済む「引っ越し」と比べても割れるリスクが桁違いです。「ワレモノ」マークがついているから大丈夫!と思ったら大間違い。割られてから困る前に、梱包・荷造りのコツを覚えましょう。
食器の送り方について、食器の通販を運営する梱包のプロ・テーブルライフがその極意を教えます!
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1.基礎知識
(1)箱の大きさが勝負!送料の基礎知識
一般的なことですが、宅配便の送料は箱の大きさ(縦+横+高さの合計)で決まっています。※一部重量制もあります
引用画像:ヤマト運輸
したがって、同じものであればできるだけ小さな箱で送ることができれば安く済みます。
しかし、中身がギリギリの箱ですと当然割れる危険性が増します。
もちろん逆に頑丈に包めば包むほど安全ですが、その分大きくなり送料が高くなります。
宅配の送料 日本郵便はこちら ヤマト運輸はこちら
(2)輸送中に割れていたら発送主のせい?宅配保険の基礎知識
「割れたら保険でカバーすればいいでしょ」と思いがちですが、「郵便物等の損害賠償制度」では賠償額の上限が決められているだけで、必ずしも破損時に賠償してもらえるわけではありません。
■郵便物等の損害賠償制度 https://www.post.japanpost.jp/service/songai_baisyo.html
損害賠償の対象とならない可能性があるケース(上記リンクより抜粋)
次の場合は賠償に応じかねることがありますのでご注意ください。 郵便物等の外部に破損の跡がなく、かつ、重量に変わりがないとき 差し出される時点で郵便物等の外部に破損の跡があるとき 損害が下記の理由により発生したものであるとき 差出人または受取人の過失 (例)郵便物等の内容品の包装が適当でなかった 郵便物等の性質や欠陥
つまり「箱に損傷がない場合は損害賠償の対象にしない」という制約があるわけです。
しかしテーブルライフ社の経験上、食器が届いた時点で割れていたときに箱に損傷があったことはほとんどありません。この場合に損害賠償を勝ち取るには粘り強い交渉や物証提示などが必要となることがあります。(運送会社や営業所によっても対応が異なることがあり、かつてヤマト運輸さんで難航したことがありました)
したがって「割れた場合は発送主の責任になる(=保険で賠償されない)」と思っているくらいでちょうどいいと考えてください。
2.梱包の考え方
基礎知識でお伝えした通り、「できるだけ小さく梱包する」「割れたら自分のせい」と考え「割られない梱包」を目指す必要があります。
さらに食器を送る際、気にして欲しいことも一緒に記載します。
(1)食器が割れるロジック
輸送中に食器が割れるのは大きく分けて2つのパターンがあります。
●食器同士が箱の中でぶつかって割れる●箱の外側からの衝撃で割れる
梱包をする際、この2つの衝撃から守ることで破損を防ぐことができるわけです。
(2)箱を落とされないようにする
運送会社も基本は人間が手で運ぶシーンが多いです。できるだけ持ちやすい・滑りにくい梱包を心がける方が、当然割れる確率は低くなります。
もちろん落とされて破損があったときは運送会社の弁済対象となりますが、そもそも割られないように「運びやすい荷物」を心がけることが送る側・送られる側・引き受ける側の3者にとってよいことです。
引用画像:ヤマト運輸
具体的には段ボール箱を止める粘着テープはできるだけクラフトテープを避け、布製の粘着テープを使用するようにしましょう。布製の粘着テープは滑りにくいため、運ぶときにもしっかり安定して輸送できます。(逆にクラフトテープは非常に滑りやすく、しっかり持つのに余計な力を必要とします)
(3)緩衝材を再利用したい
(4)開梱を楽にする
→「マスキングテープ」を使う気遣い
多くのご家庭ではミラーマットやエアクッション(いわゆるプチプチ)がたくさんあるというところは少ないでしょう。食器を受け取った後は次に何かを発送するとき、再利用できるように保管をされることもあると思います。
そんなとき、粘着テープがミラーマットやプチプチにべったりくっついているとどうでしょう。
このように部分的に破れてしまい、再利用するのに汚くなってしまいます。そんなことを防ぐには「マスキングテープ」がオススメ。
剥がれやすいので緩衝材を破ることなく、さらに開梱作業も非常に楽になります。開梱中に落としてしまい破損するリスクも考えると「剥がれやすい粘着テープ」は非常に有効なことがわかります。
また、貼る枚数も最小限に抑え1枚か多くて2枚程度にすると、開梱作業がさらに楽になります。
このように「輸送中に割れないこと」の他に、受け取って開梱する人の気持ちにもなって梱包することをオススメします!
3.食器の梱包の仕方
さて、いよいよ梱包にかかります。
まず箱の大きさを見積もりましょう。
(1)送る食器の量に対して容積で3〜4倍が目安
もちろん重ねられる食器とマグカップのような重ねられない食器で必要な容量は変わってきますが、少なくとも平置きをして食器が壁面に接しないことが必須です。梱包材の余裕を見ると箱の一辺の長さは食器の直径の1.3倍は欲しいところです。
(2)食器同士の破損を防ぐ
食器同士の破損はお互いに動いてしまうことが原因で起きます。
お皿とお皿の間にミラーマットのような緩衝材を挟むことで、その柔らかさによってお皿同士の衝撃を防ぐとともに滑り止め効果により輸送中の動きも抑制できます。
大抵の食器はミラーマット1枚あれば十分ですが、重量のある食器や枚数が多いときは適宜2枚挟むようにしましょう。間にミラーマットが挟まった状態のうつわたちをひとつの塊にして粘着テープで止めれば、そう簡単に動くことのない1次梱包ができあがります。
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(3)外箱からの衝撃を防ぐ
その後、外箱からの衝撃を防ぐためにエアークッションを活用します。
いわゆるプチプチを(2)で作った梱包物を包むようにして止めます。
このとき、できるだけクッションの偏りがなくなるよう、薄い方と厚い方を意識して止めましょう。かわいいマスキングテープで留めると上品な梱包になりますね。
(4)箱詰め
これができあがったら箱詰めです。
外箱に食器の梱包物が直接触れないよう、新聞紙やエアーバッグなどの緩衝材を箱との間に挟み、箱から見て食器が「完全に浮いている状態」を作りましょう。
前後左右上下どの方向に動いても外箱の内壁に当たらないようにうまく梱包材を詰めてください。
まとめ
食器の梱包で大事な点は2点です。
・食器同士が当たらないよう食器と食器の間に緩衝材を挟むこと ・外箱に直接触れないよう緩衝材で上下左右から浮かせるように梱包すること
これさえ守れば食器が輸送中に割れることはほとんどありません。
さらに運ぶ相手・送る相手を思ってこんなことも気をつけてみてはいかがでしょうか。
・布製の粘着テープで箱を固定して滑りにくくする ・開梱作業を考え、剥がしやすいようにマスキングテープを使い、さらに枚数を最小化すること
これであなたも梱包上手! 大切なあの人へ、素敵な食器を送りませんか?
いかがでしたか?
食器のプロが教える食器梱包のコツ。
メルカリやレンタルなど食器の楽しみ方が変わってきている昨今、知っていて損のない知識です。
素敵なテーブルライフをお過ごしください!
[取材・編集 テーブルライフ編集部]