【有田焼窯元特集5】福珠窯 福田雄介さん

テーブルウェアフェスティバルまであと1ヶ月。東京ドームで出会えるオススメの窯元をテーブルライフでは事前に取材しました!テーブルウェアフェスティバルに訪れる方は必見です!(福珠窯さんは「有田焼」ブースにいらっしゃいます)

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銀彩の鮮やかな有田焼「福珠窯」を直撃!

上有田駅から南の方へ広がる閑静な地域「陶芸作家村」の一番奥、緩やかな丘を臨む1955年創業の有田の窯元・福珠窯(ふくじゅがま)。

代表の福田雄介(ふくだゆうすけ)さんにお話を伺うことができました。




現在の会長である先代福田雅夫さん(父)と専務:福田雅子さん(母、テーブルコーディネーター)を両親に持つ雄介さん。

-創業者はどんな人ですか?

創業者は祖父です。もともと勤めていた有田焼の老舗「香蘭社」から独立しました。一番初めは箸置きなどの小物の陶器を扱っていましたが、2代目の父の時代に食器へ展開を始めました。

やきものづくりという道へ

-やきものづくりを目指されたきっかけを教えてください。

きっかけらしいきっかけというのは実はないんです。小さい頃から工場で遊んでいるうちに自然と陶芸の道へ進むことを決意しました。

有田工業高校のデザイン科を卒業・大学でもデザインを学んだ後、いずれ作陶をしていく前提でサラリーマンとして東京へ就職しました。マンションパビリオンなどのパネルデザインやセールスプロモーションのデザインを担当し、将来に向けたデザインのキャリアを積んできたつもりです。

そのあと東京で転職をしたのですが、転職先を探すときに得られる経験を意識してヘルスビューティー系のベンチャー企業を選びました。自社商品を作り卸やネットショップで販売する会社で、Web・紙媒体・パッケージなどビジネスを一通り学ぶことができました。

そして31歳で窯へ戻り、作陶を開始しました。

やはりいきなりうまくはできず初めは焼き物に対する技術不足があったのですが、何年もやっている間にだんだん思い通りにできるようになってきましたね。

「手仕事の価値」。めざす作品づくり

-どのような作品にしていきたいですか?

「長く使ってもらう」という価値を提供したいため、2つのことにこだわっています。ひとつは「飽きの来ないデザイン」もうひとつは「高温でしっかり焼く強度の高いものを作る」。生産効率は悪くコストがかかるため価格に反映されてしまうのですが、これは20~30年使うと明確に差が出てきます。

お客様は「手仕事だから高い」だけでは納得してくれません。だから明確な価値を提供したいですし、それを正しく伝えたいです。




-どんな人に一番使ってもらいたいですか?

30-40代(自分と同世代)の方に使ってもらいたいです。50代・60代の方は既に福珠窯をご存じの方が多いので、より若い世代の方にも使って頂きたいです。

 

銀彩のうつわ

-福珠窯の特長を教えてください。

銀を使うことは一般的にはNG(黒くなるから)と言われていますが、福珠窯があえて銀を使うのは「他の人がやりたがらないことをやる」からです。

 

またかっこいいものがあったとしてもそれを「有田で作る意味」がなければならないと考えています。

なぜ日本で作っているのか、有田で作っているのか、福珠窯が作るのか、そのひとつの答えが銀であり、伝統的な模様であると思っています。

使い手目線のデザイン

-デザインへのこだわりを教えてください。

昔から長く使われてきたデザイン=飽きの来ないデザイン

であると考えています。

「アーティスト」と「デザイナー」で言ったら自分はデザイナー。つまり「自分がいいと思ったものを作る」というよりは「使う人にどんな価値を提供できるのか?」を中心に考えることが多いです。

古いものをモダンにリバイスしていくイメージです。


写真:2017年7月に発表した新作

-お父さんと作風は異なりますか?

父や祖父が築き上げてきた作風が好きなので、自分で大きく変えることはたぶんしないと思います。

私自身が「福珠窯のうつわを通じて体験したこと」が多くあります。それと同じことを多くの人に体験して欲しい、そういう想いで作陶しています。

そのため「自分個人が売れる」というより「福珠窯が売れる」ことの方が目指す姿に近いんです。

自分は世の中に伝える人。

-一番大変だったこと、嬉しかったことを教えてください。

思い通りに焼けないときは試験場に聞きに行ったりするが、原因が複合的になっていることが多いです。気苦労も多いが技術的に奥が深いことが楽しみのひとつでもあるため、苦労と嬉しいことは表裏一体です。




-跡取りについてはどう考えていますか?

初代は0から1にする人、二代目はそれをブラッシュアップする人、三代目はそれを世に伝える人。自分は伝える役割だからwebもSNSもやるし、消費地へ乗り込むこともしています。

次の代はむしろそれを壊して新しいものを作り上げるような役割になるべきと考えているので、あまりそこにこだわりはありません。


「IKOMI」シリーズ。一瞬割れてしまったのかと思ってしまいます。
住宅展示場テーブルコーディネートにも使わせて頂きました。

テーブルライフコラム「有田焼でつくるアーバンマリンテーブル」

有田焼創業400周年を終えて

有田焼創業400周年事業は大きなきっかけになりました。

参加してよかったと思うのは、単独で活動していては到底会えないような人と会うことができたことです。

それまでは地元の商社さんが主な接点でしたが、様々な業種の方に会うことで見識が広がりました。

-ブームが来ている感じはしますか?

やきものに限ったことではないですが、作り手に焦点が当たるようになってきた気がしました。


有田という産地

-有田という産地についてどう考えていますか?

作っているものの幅の広さ引き出しの多さが有田の特長だと思います。

何百年も前からずっとお客様の需要に応え続けてきた、そのマインドが有田に共通したものです。どんなものでもご要望があればできるまで作り続けてきたことがものづくりの原点になっています。その精神は引き継がれてきたものだし、我々も引き継いでいかなければならないことですね。

提案の幅を広げるテーブルコーディネート

母(福田雅子さん)はテーブルコーディネーターで、近隣の窯元の奥様や商社の人向けにレッスンし、自社でコーディネートができる活動を行っており、一般の方向けにもレッスンをしています。

 

 

福珠窯(ふくじゅがま)
http://www.fukujugama.co.jp/
〒844-0002 
佐賀県西松浦郡有田町中樽2丁目30−16
0955-42-5277

[取材・編集 テーブルライフ編集部]

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